beacon

[大学選手権]180cm超11人たちの激しい“空中戦”、駒澤大CB伊藤がFKで決着つける

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.23 全日本大学選手権準々決勝 関西学院大 2-3 駒澤大 江戸川]

 第58回全日本大学サッカー選手権は23日、準々決勝が行われ、関西1位の関西学院大と関東4位の駒澤大との一戦は、延長後半2分にCB伊藤龍(4年)が決めた決勝FKにより、駒澤大が3-2で勝った。駒大は26日の準決勝(平塚)で福岡大と戦う。

 駒大の先発には183cmの全日本大学選抜FW三島康平(4年)ら180cm以上の選手7人が名を連ね、対する関学大もFW村井匠(3年)と山内一樹(1年)の2トップ、CB2人はいずれも180cm以上だった。高さを生かした攻撃を武器とする、タイプが同じ両チームが試合開始から繰り広げた“空中戦”。前線目がけて放り込まれたボールを圧倒的な高さと強さを持つ三島がつなぐ駒大に対し、関学大のポストワーカー・村井も全日本大学選抜CB中山友規主将(4年)と伊藤ら強靭な駒大DF相手に健闘した。

 関学大は抜群のボールコントロールと身のこなし、そして周囲と全く違うテンポで存在感を放つMF阿部浩之(2年)に加え、164cmの技巧派MF梶川諒太(2年)も相手の脅威となっていたが、優勢に試合を進めたのは秋田浩一監督が「ウチはよそみたいにうまくつないで点を取れない。セットプレーやロングスローというのがウチの武器。もっと精度が高ければいいけど、(駒大のスタイルは)相手は嫌だと思う」と徹底的に「高さ」で勝負した駒大だった。

 駒大の得点は3点全てセットプレー。前半12分に右SB酒井隆介(3年)の右ロングスローからMF山崎健太(4年)が右足ダイレクトで先制弾を奪うと、前半終了間際にミスを突かれて関学大SB高松功一(2年)に同点とされた後の後半9分にも、伊藤のFKを前線が競り、そのこぼれ球を再び山崎がねじ込んだ。

 直後の11分にセットプレーから村井に同点ゴールを許し、決定的なシュートをDFがゴールライン上でクリアするなど粘る関学大を沈めることができないまま試合は延長戦へ突入した。そこで決着をつけたのは「高さ」ではなく「精度」。駒大CB伊藤の左足だった。延長後半2分、駒大はこの日2得点と爆発していた山崎がドリブルで仕掛けてゴール正面右寄り、PAやや外側の位置でFKを得る。すると「GKが右上を警戒しているようだったので外から巻くボールを蹴った」という伊藤の左足シュートがゴール左隅を破る決勝弾。高さだけではない、技ありの一撃で準決勝進出の権利を勝ち取った。

 04年から06年までインカレ3連覇の偉業を成し遂げながら、その後は日本一に立つことができず。07年は全国3位で昨年は関東8位で全国大会へ進むことすらできなかった。今季も関東リーグでは開幕5試合で3敗。圧倒的な勝負強さで勝利を重ねてきた名門にとって苦しいスタートだった。
 だがGK岡大生(3年)が「(勝ちきれない試合が多かったが)リーグ残り3試合から苦しい試合でも勝つチームになった」と振り返ったようにリーグラスト3試合をいずれも後半の決勝ゴールにより、1点差勝ちを収めると全国大会でも復活した勝負強さを披露した。
 
 決勝ゴールの伊藤は「僕たちは最後に優勝を知っている代。優勝するという喜びを後輩に伝えないといけない」。00年代最多4回の優勝を誇る駒大。01年度の優勝以降、駒大が3年以上優勝から遠ざかったことはなく、チームには常に優勝を知る世代がいた。勝者のメンタリティーを後輩たちに受け継いでもらうためにも。今大会、名門・駒大が「あと2勝」を果たす。

<写真>延長後半2分、駒澤大DF伊藤(右端)が決勝FKを決める
(取材・文 吉田太郎)

特設:大学選手権09

TOP