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[大学選手権]またも失点直後の決勝点!負けない福大が夏冬連覇王手

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[12.26 全日本大学選手権準決勝 福岡大 2-1 駒澤大 平塚]

 第58回全日本大学サッカー選手権は26日、神奈川県の平塚競技場で準決勝が行われ、第1試合では総理大臣杯全日本大学トーナメント優勝の福岡大(九州)と7度目の全国制覇を狙う駒澤大(関東4)が対戦。福岡大が途中出場のFW高橋祐太郎(4年)の決勝ゴールにより2-1で勝ち、初優勝へ王手をかけた。福大は10年1月6日の決勝(国立)で明治大(関東3)と戦う。

 再び失点直後に決勝ゴールをもぎ取った。福岡大は前半10分にテンポの早いショートパスを6本、7本とつなぎ、最後は日本代表FW永井謙佑(3年)のラストパスからMF市川稔(3年)がゴール左隅へ鮮やかな先制ゴールを叩き込んだ。

 だが、スローインでは迷わずロングスロー、そして徹底的にハイボールを放り込んでくる駒大独特の戦法にリズムを狂わされてしまう。相手の空中戦に付き合う形でボールを落ち着かせることができず、シュートチャンスすらほとんどつくることのできないまま時間は経過。宮路洋輔主将(4年)と牟田雄祐(1年)の両CBら最終ライン中心に耐えていた福大だったが後半18分、駒大の右SB酒井隆介(3年)が放り込んだ右ロングスローのこぼれ球を拾った途中出場のFW那倉夢人(4年)をつかまえることができずPKを献上。これをFW三島康平(4年)に右足で叩きこまれ、同点に追いつかれた。
 
 後半開始からの約20分間で1本のシュートも打てていなかった福大。駒大のパワープレー、そしてサイド、中央と構わず仕掛けてくる1年生MF湯澤洋介と那倉の突進にも手を焼き、完全に守勢となっていた。防波堤がついに崩れたことで立て続けに失点を重ねるかとも思われた。

 だが、準決勝の中央大戦で延長後半8分に同点ゴールを奪われた直後に決勝点を奪い返している福大は、この試合でも勝負強さを発揮する。失点のわずか3分後の21分だ。福大は中央でボールを持ったMF藤田直之(4年)が右サイドへ展開すると、相手SBと1対1となった1年生MF岸田翔平が「前半から、1対1で仕掛ければいけると思っていた」と迷わずに勝負を仕掛ける。マークを外した岸田の上げたクロスの先にいたのは初戦の決勝弾など今大会大活躍の高橋。「(岸田)翔平がいいボールを上げてくれた。自分は当てるだけだった」と振り返る高橋が完璧なヘディングシュートをゴールへと叩き込み、再び勝ち越した。

 「失点してもズルズルと引きずるのではなく、切り替えることができた」と宮路主将。この後、攻撃はほぼ前線の永井を走らせるだけで、“専守防衛”に努めることとなったが、三島やMF笠井雄太(2年)、そしてCB中山友規主将(4年)ら180cm超の選手たちがなだれ込むかのようにゴール前へ押し寄せてきた駒大の猛攻を我慢強く跳ね返していく。

 駒大は27分に那倉の左クロスに三島が、40分には中山のヘッドから再び三島が頭で狙うもガンバ大阪加入内定のGK河田晃兵(4年)の牙城を崩すことはできず。宮路主将は「相手の攻撃は徹底していて嫌だった」と語ったものの隙も与えなかった福大が1点リードを死守し、決勝進出の権利を勝ち取った。

 エース永井の日本代表招集問題について注目を集めた福大だが、乾真寛監督は試合後、永井を10年1月1日から行われる日本代表合宿に送り出すことを明言。これで日本代表がアジア杯予選でイエメンと戦う同日・10年1月6日に行われる決勝はエース不在で戦うことになった。だが指揮官は「今年永井は(ユニバやU-20代表活動のためチームの)半分くらいしか試合に出ていないんです。(決勝で永井がいないことは)つらいけど、脱・永井で勝ってきたことを証明したい」と語った。自分たちはもちろん「(自分は貢献することはできないが)最後4年生に頑張ってもらいたい」とチームを離れるエースのためにも、決勝で勝って夏冬連覇を成し遂げる。

<写真>後半21分、福大・高橋(左)が決勝ゴールを決め喜びを爆発
(取材・文 吉田太郎)

特設:大学選手権09

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