[12.31 全国高校選手権1回戦 北越 0-5 国見 駒沢]

　第88回全国高校サッカー選手権は31日、1回戦15試合を行った。名門復活を期する国見(長崎)と、ヴィッセル神戸入りが内定している“北信越の大砲”・FW有田光希を擁する北越(新潟)との一戦は、国見が5-0で快勝した。国見は1月2日の2回戦(西が丘)で藤枝明誠(静岡)と戦う。

　試合はキックオフ直後にいきなり動いた。1分、MF須郷智広(3年)の右サイドからのクロスを、ファーサイドでMF大町将梧(2年)がダイレクトボレーで合わせ、国見があっさりと先制に成功する。
　
　国見は立ち上がりから戦い方が徹底していた。北越の2トップに対しマンマークを付けて自由を奪うと、「有田君封じとして、前線からのプレスを徹底した」と高橋精一郎監督が語ったように、井福晃紀と松田有騎(ともに3年)の2トップが果敢なプレスを仕掛け、2列目もそれに連動してプレッシャーを掛け続けたことで有田までボールを送らせないようにした。

　さらに攻撃面では「蹴るだけでなく、しっかり繋ぐ」(高橋監督)サッカーを展開。両サイドハーフを起点にしながら、2トップと大町と須郷の2シャドーの4人がフレキシブルに動き、ショートパスを繋いで、相手のバイタルエリアを切り崩しにかかった。

　北越はこれに完全にはまってしまった。開始早々のゴールで完全に流れを掴んだ国見は、8分にも須郷が右サイドから、ボールを浮かせてDFを交わし、技ありゴールを叩き込んで、2-0。これで完全に勢いに乗った国見は、中盤とバイタルエリアを制圧。25分には右CKからDF布志木拓名(3年)に決定的な3点目を奪われ、前半だけで勝負は決まってしまった。

　後半も前半同様に立ち上がりから猛攻を仕掛けた国見は、1分にFKを得ると、これを松田が直接蹴りこんで、4点目。北越は有田が中盤の位置まで下りて、そこでボールを受けてドリブルを仕掛けるが、何人も迫り来る青と黄色の縦じまのマークに苦しむ。20分にはドリブルで一気に右サイドを切れ込んでシュートを放つなど、才能の片鱗を見せたが、最後までらしさを出せなかった。

　対して国見は37分にエース井福がトドメの5点目を決め、タイムアップのときを迎えた。チームを長年引っ張ってきた“北越の生き証人”、63歳の嵯峨谷通監督が今年で退任するため、恩師のためにも勝利が欲しかった北越だったが、「これまでとは違う、パスを繋いでいくサッカー」(高橋監督)を展開した新生・国見の前に屈する形で、選手権を後にした。

(取材・文　安藤隆人)

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特設:高校サッカー選手権2009