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[高校MOM144]山梨学院大付FW佐野敬祐(3年)_試合の流れを一変させたスピードスター

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 山梨学院大付 4-2 野洲 駒場]

 初出場の山梨学院大付(山梨)は5年連続出場の野洲(滋賀)にリードを奪われる苦しい展開から4-2と試合をひっくり返し、2回戦に駒を進めた。

 本当に厳しい試合だった。開始わずか9分に失点を許すと、勢いに乗る野洲のパスワークに守勢を強いられ、なかなか反撃の糸口をつかめなかった。そんななか、試合の流れを変えたのがFW佐野敬祐(3年)だった。

 セットプレーから同点に追いついた直後の後半3分、野洲のGKとDFがバックパスの際に連携ミスを犯すと、佐野はその隙を逃さなかった。非情にも無人のゴール前に転がったボールに対し、自慢の快足を飛ばしていち早く追い付き逆転ゴールを決めた。そして、この1点が野洲の焦りを誘うことになり、試合の天秤は山梨学院に傾いていった。

 劣勢だった前半でも野洲を唯一脅かしていたのは佐野だった。爆発的な加速力で高いラインを敷く野洲の裏のスペースを果敢に狙い、数少ないチャンスを呼び込んだ。2年生エースのFW加部未蘭が故障によりベンチスタートとなるなか、労を惜しまぬ動き出しで攻撃陣を牽引した。守備では「前からプレッシャーをかければ(プレスの網に)引っかけられる」という横森巧監督の指示を忠実に実行。逆転ゴールの場面も、手を抜かずにプレッシャーをかけにいっていたからこそ転がってきたチャンスだった。

「1年生から出ている。足の速さが武器で、走りっぷりもいい。最初はシンプルなプレーしかできなかったが、少しずつ粘りが出てきた。相手は嫌だったと思う」。指揮官の信頼厚いスピードスターはこれからも泥臭いプレーでチームを引っ張っていく。

(取材・文 神谷正明)

特設:高校サッカー選手権2009

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