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[高校MOM146]立命館宇治MF立溝誠也(3年)_「初」を楽しめる強心臓

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.31 全国高校選手権1回戦 秋田商 2-3 立命館宇治 駒場]

 自慢のキックがチームを勝利に導いた。後半33分、ペナルティボックスのギリギリのところ、ゴール正面で得たFKのチャンス。キャプテンのMF立溝誠也(3年)は自信を持って右足を振り抜くと、ボールは鮮やかにゴールネットを揺らしていた。この1点が決勝点となり、選手権初出場だった立命館宇治は2回戦に進出し、歴史のページにまた新たな章を付け加えた。

 セットプレー2発で逆転していたものの、試合はまだどちらに転ぶかわからない状況だった。そんななか、勝利を大きく手繰り寄せたのが立溝の右足だった。壁の前に味方選手を跪かせて蹴る形はぶっつけ本番だったが、自分がやるべきことは目の前のボールに集中することだけだった。立溝は「壁の前に味方を置くのはやったことがなかったけど、自信のあるコースだったし、狙って打つだけだった」と振り返る。

 セットプレーはキャプテン中心に決めるのが立命館宇治のスタイル。「選手権が決まったあとの試合であの形でやられたことがあった。GKに聞いたら、蹴るところが見えなくて飛んでくるところがわからないという話だった。そのときに『いいな』と思った」とニヤリ。ぶっつけ本番の形から狙うのを決めたのも立溝だった。

 京都勢が初戦を突破するのは実に8年ぶりのことだったが、立溝は「歴史を塗り替えてやろうと心に秘めていた。やる気が出たし、初戦を待ち望んでいた」とプレッシャーのかかる状況を逆に楽しんだという。立命館宇治は「初」の桧舞台で「初」のトリックプレーを試せる強心臓のキャプテンに導かれ、京都の不名誉な記録に終止符を打った。

<写真>立命館宇治MF立溝
(取材・文 神谷正明)

特設:高校サッカー選手権2009

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