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[高校選手権]境“風上の運”にも恵まれて勝利!

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[12.31 全国高校選手権1回戦 東久留米総合 0-1 境 西が丘]

 第88回全国高校サッカー選手権1回戦が東久留米総合(東京A)対境(鳥取)は、1-0で境が勝利した。境は1月2日の2回戦で四日市中央工(三重)と対戦する。

 久留米と清瀬東が統合してできた東久留米総合は創立3年目で初出場。対する境は4年連続7度目の出場。試合は序盤から東久留米が持ち前のパス・サッカーで優勢に進めた。例えば、160㎝のボランチ大塚直穂(3年)が軽やかに“つなぎ”、右MF上村将仁(2年)が巧みなボールタッチでサイドを抉った。チーム全体として、人工芝ピッチでの練習成果を感じさせるサッカーだった。対する境はセイフティ・クリアの連続。東久留米の得点は“時間の問題”とすら感じられた。

 しかし後半、試合展開は一変する。守備で粘って数少ないカウンターチャンスを狙っていた境に「前半よりも“はるかに”強風の風上」という想定外の“援軍”がついたのである。東久留米はまるで別のチームであるかのように、押し込まれるようになった。クリアボールは風に押し戻され、ショートパスで“つなごう”としてもリズムが作れず。その一方で、境はFW松川智哉(1年)、FW藤田勇気(1年)、MF加藤裕明(3年)らの突破力が“さらに”活きるようになる。

 そして27分、境は決定的チャンスを着実にモノにした。

 左サイドから松川がマーカーを引きずるように強引なドリブルで内に切れ込み、“ほぼ”中央の加藤にパス。加藤は素早く、右サイドをオーバーラップしてきた右SB片岡義貴(3年)につなぐ。そして、加藤はフリーでトラップした後、落ち着いてシュート。

 その後も境は「強風の風上」の利を活かし、戦い切った。シュート本数が試合を象徴している。東久留米は3本(前半のみ)に対して、境は15本(前半3本、後半12本)。うち、決勝点の起点になった松川のシュートは6本(前半1本、後半5本)。強引なドリブルは“1人よがり”と見えることもあったが、そんなプレーの連続が、東久留米守備陣の目を引きつけ、結果的に、決勝点をあげた片岡をフリーにしたとも言える。

 見方を変えれば、リアリズムの勝利であり、ロマンチシズムの敗退。

 しかし、試合後、東久留米の齋藤登監督は来季に向けて、こう語った。

「“自己満足のサッカー”かもしれないが、選手が“やっていて面白い”と感じるサッカーをして、かつ勝てるチームを作り上げたい」。

<写真>会心の勝利にガッツポーズの景山主将(3番)ら境イレブン
(取材・文 木次成夫)

特設:高校サッカー選手権2009

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