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[高校選手権]ファーストタッチで決勝点、八千代が鮮やか逆転勝ち

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[1.2 全国高校選手権2回戦 旭川実1-2八千代 市原臨海]

 八千代(千葉)が逆転で旭川実(北海道)を下し、3回戦進出を決めた。前半5分にまさかの先制点を許したが、その後はゲームを支配。前半39分、FW大和久弘樹(2年)のゴールで同点に追いつくと、後半24分には途中出場のFW磯部晃(3年)が勝ち越し点を奪い、2-1で逆転勝ちした。

 先制点を奪ったのは旭川実だった。前半5分、左サイド後方からのFKにGK永村達郎(3年)が飛び出したが、クリアし切れず、ボールがこぼれると、MF阿部恭也(2年)がヘディングで無人のゴールに押し込んだ。

 だが、この1点で八千代の目が覚めた。砂金伸監督が「“またやっちゃったか”と。でも、あそこで失点しても心理的に落ち込むことなく、イライラもしていなかった。時間が早かったので、チームが締まるという意味ではよかったのかもしれない」と振り返ったように、ここから司令塔のMF長澤和輝主将(3年)を中心にしたパスサッカーが本領を発揮した。

 前半26分、長澤の左クロスからFW石川誠也(3年)がヘディングで狙うと、同31分にも長澤のパスを受けた石川が左サイドからグラウンダーのクロスを送り、大和久が右足で合わせる。そして前半終了間際の39分、八千代の執念が同点ゴールにつながった。

 オーバーラップしたDF宇田川卓馬(3年)が逆サイドにクロス。石川のヘディングシュートはクロスバーに弾かれたが、大和久が押し込み、ついに試合を振り出しに戻した。12月31日の中津工・中津東(大分)戦(5-0)でも試合を決定付ける3点目を決めた大和久の2戦連発弾。「無我夢中だった」と振り返った2年生は「1点入れば、こっちのリズムになると思っていた。前半に1点取ったのが大きかった」と胸を張った。

 後半も八千代が立て続けにチャンスをつくるが、旭川実の守備陣も堅い守りを見せた。後半5分、左クロスを流し込もうとした大和久のシュートはゴールライン上でDF宮本恭兵(2年)がクリア。同20分には大和久の左クロスから途中出場のMF高橋昂平(3年)が強烈な右足ボレーを放つが、GK倉悠介(3年)の好セーブで勝ち越しゴールを許さなかった。

 八千代は後半23分、先制点の大和久に代えてスーパーサブの磯部を投入する。「大和久も悪くなかったけど、チームとして戦うためにどうすべきかを考えた。旭川実のパワー、粘り強さを打ち破るために磯部を選択した」と砂金伸監督。すると、直後の24分、その采配がズバリ的中した。

 長澤の絶妙なスルーパスに磯部が抜け出し、左足でシュート。これがDFに当たり、GKの手も弾いてゴールマウスへ。磯部の気迫がネットを揺らした。「夢中でよく分からなかった。触られたと思ったけど、吸い込まれていって…。ラッキーでした。たぶんファーストタッチです」。出場から1分で大仕事をやってのけたヒーローは白い歯をこぼした。

 3日の3回戦では関大一(大阪)と対戦する。「絶対に苦しい試合もある。楽勝できるチームじゃないし、1回戦が出来すぎだった。ある意味、締まってよかった」と砂金監督。オレンジ軍団は一歩一歩、着実に階段を上っていく。

(取材・文 西山紘平)

特設:高校サッカー選手権2009

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