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[高校MOM152]作陽MF渡部亮武(3年)_魅せた“遠藤流FK”。2人の兄のリベンジに燃える

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 全国高校選手権2回戦 西武台1-2作陽 埼玉]

 冷静沈着なボランチは、ひらめいた。「この時間ならリスクが冒せる。狙うしかない」。前半8分のFKの場面。作陽(岡山)のMF渡部亮武(3年)はボールをPA外右約25mの位置にボールをセットした。やや距離があるうえ、通常、この位置は右足には不利だ。しかし、速いボールで壁の外を巻いてゴール右下に沈めた。

 このゴールでチームは主導権を握り、地元の大声援を味方に付ける西武台(埼玉)を退けた。「Jリーグで遠藤選手が似たようなFKを蹴っていたので。イメージ通りに蹴れた。早い時間だったので、リスクを冒せるので、狙いました。難しい位置? 自信はありました。練習していたんで」と渡部は涼しい顔で振り返った。

 野村監督によると、この半年で大きく成長した選手の一人だという。もともとは運動量と読みが武器のボランチだったが、キックの精度が格段に上がり、展開力がついた。「いろんなキックが蹴られる(匹魃曚垢海箸發任④襪・ざ覆欧襪海箸發任④・∥・ぅ棔璽襪盻海蕕譴泙・,△伯ぐ柄阿詫蠅蠅覆・辰燭鵑任垢・ぜ・・靴泙靴燭・・〆醉曚任蝋㌧腓燃萍・垢譖{青山敏弘|青山敏弘(9615)}}を輩出しているが、青山のように攻守で頭のいいボランチに成長した。

 目標は悲願の優勝だ。そこにはこの日も応援に来てくれた2人の兄への思いもある。渡部には、いずれも作陽でプレーした2歳上の伊織さん、4歳上の圭馬さんの兄がいる。伊織さんは守備が武器のボランチで、圭馬さんはパスセンスに優れる攻撃的MF。渡部は2人からサッカーを教わり、2人を足したようなボランチを目指し、追いつけ追い越せで練習してきた。作陽に進学したのも、兄の影響からだ。

 兄2人はいずれも、16強止まりだった。伊織さんは平成19年度第86回大会の3回戦で広島皆実にPK負け。圭馬さんは平成17年度の第84回大会で広島観音に、こちらもPK戦で敗れた。「兄が広島勢に負けてるんで、自分としては広島観音を倒したい。そして優勝したい」と渡部。3回戦の相手は矢板中央(栃木)だが、準々決勝では広島観音(3回戦では尚志=福島)と対戦する可能性がある。

 「ここまではサイドチェンジとか、散らすパスとか、効果的なパスが出せていない。もっといい攻撃ができるように頑張りたいです」と渡部。相棒のボランチ河津良一(2年)もパスセンスに優れているが、渡部が守備に加えて攻撃をいっそう司れば、課題のポゼッションサッカーが機能するはず。まさにチームの“心臓部”として攻守で奮闘し、兄2人のリベンジを成し遂げるつもりだ。

<写真>作陽MF渡部
(取材・文 近藤安弘)

特設:高校サッカー選手権2009

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