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【連載】2010Jリーグ新天地での挑戦(17)FW新居辰基(湘南)

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 もう一度、“J1の壁”に挑戦する。ゴールハンターとして再び、輝く。千葉から戦力外通告を受け、湘南ベルマーレに加入したFW新居辰基。4日に行われた新加入会見での言葉からは、ゴールに飢えていることがあふれ出ていた。
 「FWとしてゴールを狙い続け、多くの点を獲れるように頑張りたい」
 短い言葉に、秘めたる思いが込められていた。会見後の個別インタビューでも、何度も「FWはゴール」という言葉を口にした。一時は地域リーグでのプレーも経験したが、05年から加入した鳥栖で才能を開花させた。05年17得点、06年23得点(ともにリーグ戦)と、連続でJ2の“日本人得点王”に輝き、07年には複数のオファーの中から、当時、ナビスコ杯を連覇するなど躍進した千葉に移籍した。
 しかし、思うような結果が残せなかった。リーグ戦3年間の内訳は、5得点、3得点、2得点・・・。試合数は例年20強の出場を果たしたが、ゴールは遠かった。パサーがいなかったこともあり、持ち味のスピード、飛び出しが発揮できなかった。
 オフにはJ1、J2を含め、複数のオファーがあったが、反町康治監督に口説かれた。「湘南は前へ前への意識が強いサッカーをしていた。自分を生かせるかなと思った。監督も、『ここなら自分の持っているものを出せるぞ。生かせると思うぞ』と言ってくれた」。たしかに、持ち味は縦へ縦へ、前へ前への姿勢だ。それが鳥栖時代にも評価され、ゴールを量産した。千葉時代もその意識がなかったわけではないが、再出発を果たすベルマーレと、自身の復活とを照らし合わせ、新天地に選んだ。
 反町監督も「復活できるか? いけるだろう。スピードはあるし、判断も速い。動きだしも速いし、カンもいい」とレギュラーFWの候補として期待していること明かした。昨年はFW田原を中心とした3トップだったが、新居は左FWのレギュラーか、もしくは2トップの一角としてゴール量産が期待される。
 
 「千葉の3年間は無駄じゃない。ゴールを決められなかった自分が悪いんで。FWが点を取らないとチームは勝てないので、しっかりと点を取りたい」。まだ26歳、老けこむ歳ではない。今度こそ、“J1の壁”を破り、真のゴールハンターを目指す。
 名前の「辰基」は野球好きの父親が巨人ファンで、好きだという原辰徳監督にあやかって名付けられたもの。自身も大の巨人ファン。ベルマーレでゴールを量産し、エースになるだけでなく“湘南の若大将”も襲名する!?
(取材・文 近藤安弘)

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※この連載では10年シーズンに新天地へ移籍した注目選手をJ1の18チームから1人ずつピックアップしていきます(新人選手は除く)

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