[3.20 J1第3節 湘南1-3広島 平塚]

　J1第3節が20日に各地で行われ、神奈川・平塚競技場では湘南ベルマーレとサンフレッチェ広島が対戦した。ホームの湘南は何とかJ1復帰後初勝利が欲しいところだったが、広島は右MF山岸智→FW佐藤寿人のホットラインが爆発し、前半に2得点を先制。後半も山岸のゴールで突き放し3-1で勝利した。

　1分け1敗と勝ち星がない湘南は、先発メンバーを4人入れ替えた。DF臼井幸平とMF田村雄三が怪我から復帰し、FW阿部吉朗とFW中村祐也が今季初先発を果たした。システムは4-3-3でGKは野澤洋輔、DFラインは右から臼井幸平、ジャーン、村松大輔、島村毅。中盤はアンカーが田村雄三、攻撃的MFが寺川能人と坂本紘司。3トップは右から中村祐也、田原豊、阿部吉朗が入った。これまでFWの一角を務めていた馬場賢治は怪我でベンチを外れた。

　対する広島は前節の神戸戦に勝利し、今節で確実に連勝をつかみたかった。システムは3-6-1で怪我で出遅れていたG大阪から新加入のMF山崎雅人が初先発。GKは西川周作、3バックは右から森脇良太、ストヤノフ、槙野智章。中盤はボランチに森崎和幸と中島浩司、右MFに山岸智、左MF服部公太、2列目に山崎雅人、森崎浩司が入った。1トップは佐藤寿人が務めた。

　序盤はホームの湘南が攻守の切り替えの速さをみせ、リズムをつかんだ。前半5分にPA手前で坂本が落とし、走り込んだ中村がミドルシュート。同9分にはゴールエリア内に中村が侵入しGK西川と1対1に。しかし、このビッグチャンスを逃してしまう。シュートはGKの手を弾き、バウンドしながらゴールネットに向かっていったが、広島守備陣が間一髪でヘディングでクリア。ボールはクロスバーに当たって跳ね返り、西川の手に収まった。

　その後、広島が地力を発揮し、リズムを奪い返す。得意のパスサッカーで中盤を支配しはじめた。前半17分には槙野がオーバーラップしてシュート。1分後には山崎が強烈なミドルシュートを放つなど流れをつかんだ。

　先制点は広島が奪った。前半21分、森崎和が右サイドの山岸に展開。山岸はPA右を得意のドリブルで崩し中央へグラウンダークロス。これを佐藤寿人がしっかり合わせてゴールを決めた。

　先制点でさらに勢いづいた広島は、すかさず2点目を奪った。前半29分、再び山岸がPA右を攻略し、グラウンダークロス。まるで1点目のシーンを再現したかのように、佐藤寿人が詰めて2-0とするゴールを奪った。

　湘南は何とかサイドを使って攻めようとするが、守備面で後手に回りリズムを奪い返せない。それでも前半45分、中村がドリブルで突進しPA手前で強烈なミドルシュート。クロスバーを直撃したが、惜しいシーンだった。前半は広島が2-0で折り返した。

　後半、ともにメンバー交代はなし。相変わらず広島がボールを支配するが、湘南も前半とは違い風上に立ったこともあり、サイドから速い攻撃を仕掛ける場面も出てきた。後半9分、湘南は阿部が左サイドからミドルシュート。GK西川に弾かれたが、積極的な姿勢をみせる。

　広島が貴重なダメ押し点を奪った。後半12分、右MFの山岸智がPA右を侵入。右足を強烈に振り抜いてシュートすると、GK野澤の後方でカバーに入った湘南守備陣を直撃し、ゴールネットを揺らした。守備陣に当たらなくても枠に入っていたため、オウンゴールではなく、山岸のゴールとなった。

　後半19分、湘南は一気に2選手を入れ替えた。寺川に代えてMF小林竜樹、中村に代えて大卒ルーキーの三平和司を投入した。

　直後、ラッキーな形で湘南が1点を返した。後半21分、PA内でやや長めのスルーパスに飛び出した三平が、同じく飛び出したGK西川に倒されPKを奪った。ルーズなボールと微妙な状況だったため西川は抗議したが、判定は覆らない。このPKをキッカーを務めた坂本がきっちりと決めた。

　湘南は後半28分、阿部に代えて新居辰基を投入。形勢逆転を狙った。そして同30分、左サイドで三平がタメを作り、小林にラストパス。やや角度がなかったため、小林の左足シュートは左サイドネットへ。なかなかゴールを割るまでには至らない。

　その後も広島がパスワークで圧倒し、支配を続ける。後半36分、山崎に代えて桑田慎一朗を投入。前線にフレッシュな選手を入れて、攻撃はもちろん前線の守備を強化した。さらに同41分には森崎浩に代えて李忠成を投入した。ロスタイム、湘南は小林のミドルシュートやFKで好機は作ったがゴールは奪えない。そのまま3-1で広島が2連勝をつかんだ。

(取材・文　近藤安弘)