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柏木の“一声”で浦和の攻撃が活性化

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[4.3 J1第5節 浦和2-1湘南 埼玉]

 浦和レッズは2点しか決められなかったが終始、攻め込んで湘南を圧倒した。全21本のうち後半だけで12本のシュートを放った。それができたのは新加入のMF柏木陽介の“一声”にあった。

 「ハーフタイムに、下がらないでやろうと言った。(浦和は)勝ってるときに守ることがあるから。(言った結果)高い位置でボールを奪ってより攻撃的にできた」

 若きアタッカーはニンマリだった。第2節のFC東京戦。相手は退場者を出し10人になったが、浦和は押し込まれる時間があった。第3節の山形戦も、相手は前半、引いていたため、それに合わせてしまった部分があった。事実、前半は優位に進めながらも、後半は相手に支配される時間もあった。なぜか-。柏木は考えた。

 浦和はかつて、個の力で勝負できるため、点を取ったら受け身に回ることが多かった。事実、相手に攻められても跳ね返して、カウンターで点が取れた。“横綱相撲”といえば聞こえはいいが、リアクションサッカー。柏木には改善点だと感じた。そもそも、広島では常に攻撃的スタイルで結果を残した。フィンケ監督も広島のようなアクションサッカーに転換しようとしている。だからこそ、意見を口にした。

 この柏木の進言でチームは意思統一され、前述したように、後半に攻撃の勢いが増した。たしかに、湘南との実力差もあるが、チームリーダーのMF阿部勇樹も「東京戦も山形戦も、リードしていて自分たちから守りに入った。ハーフタイムに話し合った。コンパクトにできたと思う」と“柏木効果”を口にした。

 「まだ自分のやりたいことができていない。もっといいパスを出したり、シュートまで行ったりとか、もう少しですね」

 柏木は課題を口にするが、22歳の新加入選手が試合運びについて意見し、それが通ったということは、仲間に認められている証。完全フィットするのは時間の問題だろう。浦和は柏木とともに、まだまだ進化する可能性がある。

(取材・文 近藤安弘)

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