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湘南・中村は古巣サポから大ブーイング。「サッカーやっててよかった」

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[4.3 J1第5節 浦和2-1湘南 埼玉]

 ブーイングが、これほどうれしかったことはなかった。試合前の選手紹介で湘南ベルマーレのFW中村祐也は、赤い悪魔ともいわれる浦和サポーターに、チームで一番のブーイングを浴びた。

 「覚えてもらってて、うれしかったですね。サッカーをやってて、よかったと思いました」

 中村は感慨深げに振り返った。埼玉県生まれで浦和ユース出身。トップにも05年から3年間、在籍した。持ち前のスピードとドリブルテクニックで、ユース年代から将来を期待されていた男だ。今でいえば、原口元気や山田直輝のような逸材だった。だからこそ、浦和サポーターも覚えていた。憎くて声を張り上げたわけではない。かつての“仲間”へ「お帰り!」の意が込められていたはずだ。

 浦和では、腰痛など怪我が重なって試合出場はできず。公式戦には1度も出場することなく、2008年に湘南に移籍した。もちろん、こうしてかつての聖地・埼玉スタジアムでプレーすることを夢見て再起を目指していた。それが、ようやく叶った形だ。

 持ち味のドリブル突破を見せるシーンもあったが、ゴールには至らなかった。試合にも完敗だった。フル出場もシュートは2本に終わり、中村は「やりきれなかったです。自分のやりたいことがあまりできなかった」と悔しがった。

 ただ、FWとしての“怖さ”は十分に発揮した。“勝利の恩返し”はならなかったが、これからも活躍の報を伝える機会は残されている。湘南で結果を出し、浦和サポーターに「帰ってきて!」と言わせるほどの活躍を目指す。

(取材・文 近藤安弘)

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