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W杯監督インタビュー:アルゼンチン監督ディエゴ・マラドーナ

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W杯出場チーム監督インタビューの第5回目はアルゼンチン代表を率いるディエゴ・マラドーナ監督。とかくメデイアをにぎわす彼の本心は?

─アルゼンチンが前回優勝したのは1986年のことでした。この大会で選手として最高の栄誉を手にしたわけですが、今回は監督として、W杯におけるアルゼンチン代表の目標をどのように捉えていらっしゃいますか?
「86年の栄光はもはや遠い過去のもの。我々は既に24年もの間、なんの成果も収めていない。ガブリエル・バティストゥータらの涙にはもう嫌気がさしている。とにかく優勝したい。過去の中でのみ生きているわけにもいかないだろう。アルゼンチンが当時収めた成績は、ヒーロー的な色彩を帯び、素晴らしいものではあったが、とはいえその後24年間、我々は優勝を勝ち取っていないのだ。だから私が率いるこのチームを優勝チームとして、なんとしても表彰台に登らせたい。
どうか安心してほしい。我々は必ず全力で86年と同じ成績を勝ち取るだろう。アルゼンチンの人には、我々の新しいヒーローを信じてほしいし、私も彼らに自信を取り戻してもらいたいと思っている。新しいヒーローとは、リオネル・メッシハビエル・マスチェラーノゴンサロ・イグアインセルヒオ・アグエロフアン・セバスティアン・ベロンなどアルゼンチン人全体の信頼を獲得した選手たちのことだ」

─しかし、今回のアルゼンチン代表がW杯で良い成績を収めると予想している人は少ないようですが。
「マスコミは、アルゼンチン代表について、グループリーグで敗退する最後のチームにならなければそれで十分だと言っているが、それが却ってチームの活力になっている。86年当時もマスコミは、我々が早々とグループリーグで敗退すると予測していたが、最終的に我々は優勝した。このことを選手に伝えたい」

─今回のW杯でのアルゼンチンと、永遠のライバルであるブラジルとの実力の差をどのように捉えていますか?
「ブラジル代表のほうが少しだけ優勢ではないかと思う。しかしその差は非常に小さいもの。これはアルゼンチンチーム自体にいまだ劣っている点があるということに起因している。一流の選手もいるし、控え選手も素晴らしいが、メンタル面が少々不足している。必ず優勝するという気迫が足りないように思う。チームに神がかり的なリーダーは必要なく、最も必要とされるのは、一人一人の選手を1メートルでも多く走らせ、1回でも多くシュートさせ、1回でも多くカットさせることができるようなムードメーカー。これは選手を機械的に走らせ、理性的に職責を果たすようなリーダーよりも重要な存在だ。また、サッカーにおける、『優勢である』というのは結果ではなく予測に過ぎない。ブラジル代表はいつの時代も強いが、アルゼンチン代表に勝つためには、最良のコンディションで臨まなければならないし、更に大きな対価を払う必要もあるのだ」

─アルゼンチン代表の監督としての貴方の力量に対しても懐疑的な見方が多いようですが?
「アルゼンチンのサッカーをわかる人が少なすぎる。戦術がどうのこうのと言う人たちが一番嫌いだ。サッカーに指揮の神様なんていない。アルゼンチンサッカーの成果は、他国とは違ったスピリッツに基づいていて、アルゼンチン代表が対戦相手に勝つキーポイントは、選手の祖国に対する忠誠心。これを失ったらアルゼンチンサッカーではなく、マラドーナも存在しない」

─W杯に参加する選手を選抜することは、あなたにとって、非常に苦痛を伴うことではありませんか?
「W杯南アフリカ大会に参加する23人の出場メンバーを選抜することは、簡単なことではない。これまで何度もA代表のユニフォームを着た選手や、今季活躍している選手を代表メンバーから外すことは非常に辛い。それでもナショナルチームを創り上げるためには、私が選択しなければならない。選抜しなければならないということは、同時に選手を淘汰しなければならないということ。ナショナルチームのために全身全霊を以って貢献した、或いは今季素晴らしい成績を収めた選手にとって、W杯に参加できないことは非常にショックなことだろう。しかし、監督として選択せざるを得ないのだ。そして、決断すれば、一部の選手は代表チームのリストから外れることになる。皆さんが私と同じように冷静でいてくれることを望む。アルゼンチンサッカーの栄誉を死守できるチームを率いてW杯に参加するのだ」

─皆が感じている疑問ですが、メッシはバルセロナでは素晴らしいプレーを見せていたのに、アルゼンチン代表では平凡なプレーにとどまっています。この天才的な選手をどのように評価していますか?
「メッシは驚くスピードで成長しており、素晴らしく、闘志があり、快活な選手だと思っている。メッシがバルセロナでの時と同じようにノビノビと実力を発揮できるように彼を中心としたチーム編成を検討している。彼のために変える必要があるのなら、私は変える。ただ現在のシステムと選手を見れば、メッシは試合で実力を発揮しなければならない(レギュラーが確定しているわけではない)。しかし私は彼ならできると信じている」

(取材・文 馬徳興・傅亜雨?殘・・・・詞・・・洫

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