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W杯監督インタビュー:北朝鮮監督キム・ジョンフン

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W杯出場チーム監督インタビューの第20回目はブラジル、コートジボワール、そしてポルトガルと堂組となった北朝鮮のキム・ジョンフン監督。66年大会の再現なるのか!?

―W杯南アフリカ大会で、北朝鮮はブラジル、ポルトガル、コートジボワールと同じGグループに振り分けられました。このグループも「死の組」と言われています。
「ブラジル、ポルトガル、コートジボワールなど強敵との試合で、朝鮮代表は自分の持てる力を存分に発揮します。試合運びにおいて、他のチームに劣りません。相手は強豪ですが、どの試合も果敢に戦います。一部の選手は体力面でも技術面でも目覚しく成長していますし、チーム全体の実力も向上しています。前半のコンディションが良いという我々の強みを発揮すれば、ベスト16入りも実現不可能な目標ではありません」

―北朝鮮はこれまで神秘のベールに包まれていましたが、最近では国外での親善試合も増えてきました。その目的は何ですか?
「朝鮮はこの1年間、10チーム以上の外国のチームと試合をし、ヨーロッパ、南米、アフリカなどのサッカーのやり方に触れ、経験を積みました。これと同時に、これまでの1年間で、体力面、技術面ならびに作戦面でも強化を図り、世界の強豪と対等に戦えるようになりました。また、朝鮮代表は何度も海外で訓練を行いましたが、どんなに困難な状況でも動揺せず、自信と度胸を持つことができるようになったことがその成果です」

―最大の特徴は何ですか?
「頑強な意志と精神力です。精神力があってこそ、チーム全体が心を一つにして強い団結力が生まれるのです。技術面では、選手の身体能力に秀でており、厳しい試合でも十分に対応できると思います。また、スピードのある選手もおり、『スピードサッカー』を展開する条件も備えていると思います。特にFWの鄭大世やホン・ヨンジョは、ドリブルができる優れた能力を持っています」

―W杯アジア地区予選では、北朝鮮の前評判は決して良くありませんでしたが、予選を見事に勝ち抜き、W杯本大会進出を果たしました。最も大きな収穫は何ですか?
「予選を通じて、朝鮮はひとつの信念を確立しました。それは、朝鮮代表は決して弱いチームではないこと、世界のどの強豪とも対等に戦える自信を持つと言うことです。戦術の選択や試合での指揮のあり方は、チームの特徴に基づいて決める必要があります。そして朝鮮代表の戦術的特徴は、手堅いディフェンスからの素早いカウンター・アタックです」

―北朝鮮代表のプレーは保守的過ぎると批判する人も多いようです。それについて監督はどのようにお考えですか?
「先進的な、流行に合致した戦術が必ずしも最も良い戦術であるとは限らず、最も適した戦術こそが最も有効なのです。それぞれの国の国情は違います、例えば、イタリアはディフェンダーの選手層が非常に厚いですし、フランスはミッドフィルダーが非常に強い。ですから、国によってプレースタイルも異なります。我々は自分達の特徴を把握し、適切な戦術を採用します」

―Jリーグの川崎フロンターレでプレーしているチョン・テセは「朝鮮のルーニー」と呼ばれていますし、アン・ヨンハとリャン・ヨンギも日本のJリーグでプレーしていますが、これら海外でプレーしている選手をどのように見ていますか?
「これらの選手はチームに刺激を与えてくれます。彼ら3人の実力やプレーはチームからも国民からも評価されています。これまでは、彼らのように長い期間チームに合流してトレーニングすることができないケースは朝鮮代表として受け入れられなかったのですが、現在では、短期間の集中トレーニングで良い結果が出ています。これは双方の努力の結果です。また、朝鮮国内でプレーする選手もチョン・テセらJリーグでプレーする選手の影響を受け、自己管理を強化しています。技術面でも精神面でも日本でプレーする選手は良い影響をもたらしています」

(取材・文 馬徳興・傅亜雨?殘・・・・詞・・・洫

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