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代表デビュー後1ヵ月の21歳DFがロスタイム弾でニュージーランド救う

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[6・15 10年W杯GL・F組 ニュージーランド 1-1 スロバキア ロイヤル・バフォケング]

 10年W杯南アフリカ大会グループリーグF組のニュージーランド対スロバキアは後半5分にFWロベルト・ビッテクのゴールでスロバキアが先制したが、ニュージーランドは後半ロスタイムに21歳のDFウィンストン・リードが同点ゴール。勝ち点1を分け合った。

 7大会ぶり2回目の出場となったニュージーランドに対し、スロバキアは93年の独立後初のW杯出場。3-4-3システムのニュージーランドはGKがマーク・パストンで3バックは右からウィンストン・リード、ライアン・ネルセントミー・スミス。中盤はイバン・ビチェリッチとサイモン・エリオットを中央に、右がレオ・バートスで左がトニー・ロクヘッド。3トップは全て180cm超のクリス・キレンロリー・ファロン、シェーン・スメルツが並んだ。
 一方、スロバキアは4-4-2システム。GKがヤン・ムハで4バックは右からラドスラフ・ザバブニク、マルティン・シュクルテル、ヤン・ドゥリツァ、マレク・チェフ。ダイヤモンド型の中盤はズデノ・シュトルバがアンカーの位置に入り、注目のマレク・ハムシクはトップ下。指揮官と同姓同名の息子・ウラジミール・バイスとエリク・イェンドリシェクが左右のMFに入り、2トップはスタニスラフ・シェスタクとロベルト・ビッテクが務めた。

 大型3トップへロングボールを放り込むニュージーランドに対し、序盤スロバキアの攻撃は停滞。自陣にまで引いてきて攻撃を組み立てようとするハムシクとバイスがボールに絡むが、相手にコースを消されて縦のパスを入れることができない。それでもスペースを突くバイスにボールが入ると、そのバイスが絶妙な球出し。そしてマークを振り切ったハムシクやシェスタクがシュートへと持ち込んだ。

 シンプルな攻撃を徹底するニュージーランドだが、相手の堅い守備の前になかなかシュートにまで持ち込ませてもらえない。それでも38分にファロンとのワンツーでPAへ侵入したスメルツが左サイドから強烈な左足シュートを撃ち込むなど、決定的な場面もつくった。

 0-0で後半へ突入した試合は5分、スロバキアがスコアを動かす。シェスタクの右クロスに対し、CBの背後からオフサイドギリギリで飛び出したビッテクが頭で合わせて先制ゴール。欧州予選で9試合無得点だったFWの一撃でスロバキアがリードを奪った。攻め手の少ないニュージーランドは右サイドからバートスが仕掛け、予選得点王のスメルツが何とか身体を張ってボールをつなごうとするが、簡単にボールを奪われる場面が多くゴールへと近づくことができなかった。
 
 18歳のFWクリス・ウッド、技巧派のMFジェレミー・クリスティとアタッカーを投入したニュージーランドは43分、ロクヘッドの左クロスからスメルツがビッグチャンスを得るもヘディングシュートはゴール左へ。絶好のチャンスを逃し、重い空気のままロスタイムを迎えてしまう。だが48分、最終ラインから前線へ上がっていた190cmのCBリードが奇跡を起こす。左サイドでキープしたスメルツがCBの頭上をギリギリで越すクロスボール。これをリードが頭で合わせると、シュートはゴール右隅へと吸い込まれた。
 5月に代表デビューしたばかりの21歳DFを筆頭に歓喜を爆発したニュージーランドは引き分けに持ち込み、同国史上初の勝ち点1を獲得。一方のスロバキアは歴史的勝利目前で勝ち点2を落とした。

(文 吉田太郎)

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