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ブラジルが北朝鮮を振り切る、「死の組」でまず1勝

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[6.15 W杯グループリーグG組 ブラジル2-1北朝鮮 エリスパーク]

 W杯南アフリカ大会は大会5日目を迎え、「死の組」とされるG組の戦いも幕を開けた。ヨハネスブルクのエリスパークではブラジルと北朝鮮が対戦。優勝候補のブラジルがDFマイコン、MFエラーノのゴールで2-1で勝ち、初戦を白星で飾った。44年ぶり2度目の出場となった北朝鮮も後半44分にDFチ・ユンナムが1点を返し、意地を見せた。

 ブラジルは4-2-3-1のシステムで、GKジュリオ・セーザル、4バックは右からマイコンルシオフアンミシェル・バストスと並んだ。中盤はフェリペ・メロジウベルト・シウバのダブルボランチで、右にエラーノ、左にロビーニョ、トップ下にカカが入り、ルイス・ファビアーノが1トップを務めた。

 北朝鮮は5-3-1-1で、GKリ・ミョングク、5バックは右からチャ・ジョンヒョク、パク・チョルジン、リ・ジュンイル、リ・グァンチョン、チ・ユンナム。中盤は安英学をアンカーに置き、右にムン・イングク、左にパク・ナムチョルのトリプルボランチを形成。ホン・ヨンジョがトップ下に入り、鄭大世の1トップだった。

 開始早々、得意のシザースフェイントでチャンスをつくるロビーニョ。試合は戦前の予想通り、守りを固める北朝鮮をブラジルが攻め込む展開となった。前半7分にはエラーノ、ロビーニョが立て続けにシュート。積極的にゴールを狙った。

 北朝鮮は守ってからのカウンターでしか攻撃の糸口をつかめないが、前線の鄭大世が体を張ってボールをキープ。前半11分には3人に囲まれながらも強引にドリブルで突破し、シュートまで持ち込むなど孤軍奮闘した。

 個々の技術では圧倒的な差がありながら、完全に引いて守る北朝鮮はブラジルにスペースを与えず、決定的なチャンスをつくらせない。ブラジルは前半27分、右サイドバックのマイコンが遠めからミドルシュートを放つも、GKがセーブ。同35分にはロビーニョが巧みな足技で相手を引き付け、フリーで駆け上がってきたバストスにラストパスを送ったが、シュートはゴール上に外れた。

 0-0で前半を終えると、スタンドからはブーイングも飛んだ。ブラジルからやってきたサポーターだけでなく、南アフリカでも圧倒的な人気を誇るというカナリア軍団。サッカー王国・ブラジルへの期待の大きさの証だった。

 ブラジルの波状攻撃にも体を投げ出したディフェンスで耐え続けていた北朝鮮だったが、後半10分、ついにゴールを許してしまう。エラーノのスルーパスに抜け出したマイコンが右サイド深くえぐると、ゴール前へクロスと見せかけ、角度のない位置からシュート。折り返しを警戒して前に動いていたGKをあざ笑うように、ボールはきれいにサイドネットへ吸い込まれた。

 耐えて耐えてワンチャンスを生かしたかった北朝鮮にとって、この1点はあまりにも重かった。前半から防戦一方となり、運動量で技術の差をカバーしてきた選手たちには疲労の色も如実に表れる。後半22分、鄭大世のシュートは体勢を崩してしまい、真横に飛んでタッチラインを割ってしまう。同23分にはパク・チョルジンが両足をつって担架で運び出された。

 そして後半27分、ブラジルが北朝鮮の息の根を止める。ロビーニョのきれいなスルーパスにエラーノが抜け出し、右足でゴール左隅へ。2-0と突き放し、試合を決定付けた。

 得点を決めたエラーノは直後にDFダニエウ・アウベスと交代。ブラジルは後半33分にカカを下げてFWニウマールを投入するなど2戦目以降をにらんだ選手交代も見せた。

 しかし、44年ぶり2度目のW杯出場を果たした北朝鮮も最後まであきらめない。後半44分、右後方からのロングフィードを鄭大世が頭で落とすと、後方から走り込んだチ・ユンナムがPA内に進入し、左足でシュート。これがゴール右上隅に突き刺さり、意地のゴールを叩き込んだ。

 北朝鮮は後半ロスタイムにも鄭大世が2本のシュートを放つなど最後までゴールを目指したが、試合はそのまま終了。ブラジルがまずは初戦を突破し、順調なスタートを切った。

<写真>先制弾を決めたマイコンは歓喜の表情を浮かべる

(取材・文 西山紘平)

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