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[総理大臣杯]2戦連続3発!仙台大が11年ぶりの4強へ(仙台大vs慶應義塾大)

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[7.6 総理大臣杯全日本大学サッカートナーメント準々決勝 仙台大 3-2 慶應義塾大 堺NTC]

 第34回総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント準々決勝、大阪府堺市の堺市立サッカー・ナショナルトレーニングセンター会場の第1試合では12年ぶり出場の慶應義塾大(関東3)と3年ぶり出場の仙台大(東北)が対戦し、仙台大が3-2で勝利。駒澤大と戦う準決勝(8日)へ駒を進めた。

 U-21日本代表MF河井陽介(3年=藤枝東高、清水エスパルス特別指定選手)とU-19代表のMF藤田息吹(2年=藤枝東高)を擁し、1回戦では鹿屋体育大(九州1)相手に5-1と大勝した慶應大。その勢いを、東北の雄・仙台大がしたたかな戦いぶりでストップ。鮮やかな逆転劇でベスト4へ名乗りをあげた。

 序盤にペースを握ったのは慶應大だった。1回戦で2得点をあげた深澤良(4年=清水東高)、河井、両サイドハーフのMF山浦公裕(2年=F東京U-18)、MF横川達郎(4年=渋谷幕張高)らを中心に前線でボールをキープすると、立て続けに仙台大ゴールを襲う。28分には左SB・黄大城(3年=桐生一高)からのパスを受けた横川が、深澤を介してゴール前に持ち込んでゴール。幸先のよい先制点を上げる。

 だが「慶應はカウンターが上手で、サイドから使ってくるんで、それに対して食いつかない。中をつかまえておけばいい」(仙台大・瀬川誠コーチ)という仙台大は、徐々に中盤でボールを奪取。中盤での支配権を握ると、42分には、慶應のボランチ・MF大塚尚毅(3年=滝川二高)からカットしたボールを、そのままFWの佐藤世弥(3年=秋田商高)がドリブルで持ち込み、右隅に狙いすましたシュートを決めて試合を振り出しに戻す。

 先にリードを奪いたい慶應大は、後半立ち上がりから積極的な攻撃を仕掛けるが、仙台大はこれを冷静に対処。「後半、相手が前からくるのはわかっていた。その分、スペースは開く」(瀬川コーチ)。その言葉どおり、ゴールキックからのボールをエース・奥埜博亮(3年=仙台ユース、ベガルタ仙台特別指定選手)が得意のドリブルでキープ。DFと競りながらもPAまで攻め上がり、中央に上がってきていたMF山崎航太(4年=仙台ユース)にパス。これを山崎がきっちり決めて、逆転に成功した。「今日はヘディングで負けてばかりだったので、体をぶつけてでも強引に攻めようと思った」(奥野)。

 なんとか同点に戻したい慶應だったが、32分にはボランチの藤田が2枚目の警告で退場。その混乱をついて、仙台大は35分にスローインからのボールを佐藤がシュート。一度は弾かれたものの、「いい具合に自分の前に来た」というボールを再び押し込んで3点目を奪取し、リードを3-1と広げる。点差を縮めたい慶應も、その後激しく前線にボールを送り、終了間際の41分には仙台大DFのクリアミスを拾った大塚が冷静に押し込み2点目をマーク。だが、ひとり足りない慶應は単調な攻撃を繰り返すことしかできず、結局は3-2のまま試合は終了。仙台大が、実に11年ぶりとなる準決勝進出の切符を手にした。

 1回戦で圧倒的な攻撃力を見せつけながらも敗れた慶應大の三上佳貴主将(4年=藤枝東高)は「チャンスをモノにできなかった。そのあとにうまく気持ちが切り替えられず、失点してしまった。自滅だと思う」と、コメント。仙台大の戦いぶりにまんまとハマる形となった展開を悔やんだ。一方、仙台大の瀬川コーチは「1点先制されても、自分たちのサッカーができれば大丈夫という自信はあった」と、この試合の展開には手応えを感じた様子。準決勝については「あくまで僕らはチャレンジャー。それを忘れずに楽しんでサッカーをしたい」と語った。

(取材・文 飯嶋玲子)

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