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悲願の頂点へ王手!オランダがウルグアイを振り切り32年ぶり決勝へ

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[7.6 W杯準決勝 ウルグアイ2-3オランダ グリーンポイント]

 W杯南アフリカ大会は6日、ケープタウンのグリーンポイントで準決勝を行い、ウルグアイとオランダが対戦。オランダは前半18分、DFジョバンニ・ファン・ブロンクホルストのミドルシュートで先制すると、同40分にFWディエゴ・フォルランのゴールで追い付かれたが、後半25分にMFウェズレイ・スナイデル、同28分にFWアリエン・ロッベンが加点し、3-2で勝った。78年のアルゼンチン大会以来、32年ぶりの決勝進出を果たしたオランダは11日の決勝で、ドイツ対スペイン(7日)の勝者と初優勝を懸けて対戦する。

 ウルグアイはガーナとの準決勝で一発退場となったFWルイス・スアレスに加え、左サイドバックのDFホルヘ・フシレも累積警告で出場停止。さらにガーナ戦で右ひざを負傷したDFディエゴ・ルガーノもベンチスタートとなった。システムは4-1-3-2で、GKフェルナンド・ムスレラ、4バックは右からマキシミリアーノ・ペレイラマウリシオ・ビクトリーノディエゴ・ゴディンマルティン・カセレス。中盤はエジディオ・アレバロがアンカー気味の低い位置に入り、その前方に右からディエゴ・ペレスワルテル・ガルガノアルバロ・ペレイラと並ぶ。前線ではディエゴ・フォルランエディンソン・カバーニと2トップを組んだ。
 オランダは右サイドバックのDFグレゴリー・ファン・デル・ビールとボランチのMFナイジェル・デ・ヨングが累積警告で出場停止。システムは4-3-3で、GKマールテン・ステケレンブルフ、4バックは右からハリド・ブラールズ、ヨン・ヘイティンハ、ヨリス・マタイセンジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト。中盤はマルク・ファン・ボメルデミー・デ・ゼーウのダブルボランチで、トップ下にウェズレイ・スナイデルが入り、前線は右からアリエン・ロッベンロビン・ファン・ペルシーディルク・カイトの3トップだった。

 立ち上がりからオランダがボール支配率を高め、試合の主導権を握るが、ウルグアイも組織的な守備で対抗する。アンカーのアレバロはスナイデルをほぼマンツーマン気味にケアし、周囲の選手とのマークの受け渡しを含め、オランダのキーマン封じを狙った。

 それでもオランダは個の能力でウルグアイの組織を打開する。前半4分、右サイドをロッベンが個人技で突破。こぼれ球を拾ったスナイデルがアーリークロスを上げると、GKのパンチングしたこぼれ球をフリーのカイトが拾い、右足で狙った。絶好の先制のチャンスだったが、シュートはゴール上に浮いた。

 前半10分にはファン・ブロンクホルストからのパスを受けたカイトがうまくDFと体を入れ替えて左サイドを抜け出す。同13分、ゴールほぼ正面でボールを持ったスナイデルが鋭い切り返しでマークを外し、右足でミドルシュートを放ったが、味方のファン・ペルシーに当たってしまった。

 待望の先制点は前半18分に生まれる。右サイドからパスをつなぎ、デ・ゼーウ、スナイデル、デ・ゼーウと戻し、左サイドのファン・ブロンクホルストへ。パスを受けた左サイドバックはゴールまで約35mの距離から迷わず左足を振り抜く。ゴール右上隅に飛んだ弾丸ミドルはゴールポストを弾いてゴールネットへ。中盤でのビルドアップから突然、目の覚めるような一撃。完全にウルグアイの意表を突いた主将のひと振りでオランダが先制した。

 ウルグアイは何度かカウンターからチャンスを伺うが、立て続けに2度のオフサイドの反則を取られるなどリズムに乗れない。先制点を許したことで、オランダは余裕を持った試合運びでウルグアイの反撃を封じる。前半36分、A・ペレイラが左足でミドルシュートを狙うもGKがキャッチ。同38分にはA・ペレイラの左クロスからフォルランがヘディングシュートを放ったが、枠を捉え切れなかった。

 徐々にシュートチャンスはつくり始めるものの、攻撃が単調なウルグアイ。このまま前半終了かと思われた前半41分、今度はウルグアイのキャプテンの左足が火を吹いた。ゴールほぼ正面でボールを持ったフォルランは切り返しをひとつ入れて左足を一閃。約25mのミドルシュートはGKのほぼ正面に飛んだが、若干前に出ていたGKステケレンブルフは鋭い回転のかかったボールに逆を突かれる形で弾き返せず、ウルグアイが1-1の同点に追い付いた。

 オランダはハーフタイムに選手交代。前半27分にカセレスの危険なバイシクルキックで顔面を蹴られ、一時はピッチ外で治療を受けていたたデ・ゼーウに代えてMFラファエル・ファン・デル・ファールトを投入した。

 後半最初のチャンスはウルグアイだった。ブラールズからGKへのバックパスにつめたカバーニがボールを奪う。こぼれ球を拾ったA・ペレイラが左足で無人のゴールを狙ったが、カバーに入っていたファン・ブロンクホルストにクリアされ、惜しくも逆転ゴールとはならなかった。

 積極的なプレスでオランダのミスを誘うウルグアイ。ボール支配率では下回るものの、試合のペースを握っているのはウルグアイの方だった。オランダはロッベンやカイトらが個人技で打開を図り、実際にDFひとりをかわすところまではいくが、ウルグアイは豊富な運動量で2人目、3人目とカバーに入り、攻撃を遮断。オランダに自由なスペースを与えず、思惑どおりに試合を運んでいた。

 いい時間帯で勝ち越し点を奪いたいウルグアイは後半22分、絶好の位置でFKを獲得する。左45度の位置からフォルランが右足で直接狙うと、シュートはゴール左隅を捉えていたが、GKの好セーブに阻まれた。

 すると、オランダにも直後に決定機。後半23分、自陣からのロングボール1本でファン・ペルシーが前線でキープすると、後方のファン・デル・ファールトに落とす。ファン・デル・ファールトの左足シュートはGKに弾かれたが、こぼれ球をフリーのロッベンがシュート。しかし、右足のキックは大きく浮いてしまった。

 ヒヤリとさせられたウルグアイは前半から飛ばしてきた影響か、徐々に足が止まり出し、組織にも穴が出始める。オランダは後半25分、左45度の位置からPA内にドリブルで持ち込んだスナイデルが右足でシュート。ボールはDFに当たってゴール右隅へ。スナイデルの今大会4得点目となるゴールで、ウルグアイは完全に集中力が切れた。

 3分後の後半28分、スナイデルが左サイドのカイトに展開。フリーでパスを受けたカイトは余裕を持って右足に持ち替え、ゴール前にクロスを送る。これに逆サイドから走り込んでいたロッベンがドンピシャリのヘディングシュート。ゴール左隅に吸い込まれる完璧なヘッドにGKは一歩も動けず、オランダが試合を決定付ける3点目を奪った。

 ウルグアイは後半33分、A・ペレイラに代えてFWセバスティアン・アブレウを投入。カバーニが左サイドに回り、アブレウがフォルランと2トップを組んだ。同40分にはフォルランを下げ、FWセバスティアン・フェルナンデスをピッチに送り込み、なんとか反撃を狙う。最後まであきらめないウルグアイは後半47分、意表を突くトリックFKでガルガノがゴール前に走り込むM・ペレイラにショートパス。M・ペレイラは左足できれいにゴール左隅に流し込み、1点を返した。

 最後は奇跡の同点ゴールを目指し、ウルグアイが猛攻を仕掛けたが、オランダ守備陣も体を張って耐え抜き、試合は3-2で終了。オランダがともに準優勝に終わった74、78年大会以来、32年ぶり3度目のファイナルへの切符を手にした。

(取材・文 西山紘平)

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