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鹿島が約4ヵ月ぶり首位返り咲き、韓国代表イ・ジョンスが決勝点

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[7.17 J1第13節 鹿島2-1川崎F カシマ]

 Jリーグは17日、W杯による中断から本格的に再開し、各地でJ1第13節6試合が行われた。カシマスタジアムでは鹿島アントラーズ川崎フロンターレに2-1で競り勝ち、この日引き分けた清水を抜いて第4節終了時点以来、約4ヵ月ぶりの首位に立った。鹿島は前半21分、MFフェリペ・ガブリエルの来日初ゴールで先制。川崎Fも同39分にFW黒津勝のゴールで追いついたが、同42分にMF稲本潤一が2枚目の警告で退場となり、鹿島は後半34分にセットプレーからDFイ・ジョンスが決勝点を奪った。

 DF内田篤人がシャルケ04に移籍した鹿島はFW興梠慎三も結膜炎のため欠場。システムは4-4-2で、GK曽ヶ端準、4バックは右から新井場徹、岩政大樹、イ・ジョンス、ジウトンと並んだ。中盤は中田浩二と小笠原満男のダブルボランチで、右に野沢拓也、左にフェリペ・ガブリエル。大迫勇也とマルキーニョスが2トップを組んだ。
 FW鄭大世、GK川島永嗣が海外移籍した川崎FはFWレナチーニョが出場停止明け。システムは4-4-2で、GK相澤貴志、4バックは右から伊藤宏樹、井川祐輔、菊地光将、小宮山尊信。中盤は稲本潤一と中村憲剛のダブルボランチで、右に田坂祐介、左にヴィトール・ジュニオールが入り、前線はレナチーニョと黒津勝の2トップだった。

 立ち上がりは互いに前線にボールが収まらず、中盤でのつぶし合いが続いた。両チームともにファウルが多く、試合にリズムが出ない。前半16分、川崎Fがヴィトール・ジュニオールの左CKから伊藤がヘディングシュートを放ったのが数少ないシュートシーンだった。

 そんな中、鹿島が前半21分に初チャンスをものにし、先制に成功する。ジウトンからの縦パスを受けたマルキーニョスが反転してPA内に進入。菊地がカットしたボールはスペースにこぼれ、ここに走り込んだ大迫がすかさずシュートを狙う。稲本が必死のスライディングタックルでシュートコースを消したが、大迫のシュートは稲本の足に当たってゴール前に浮き、これをフェリペ・ガブリエルが体ごと押し込んだ。

 不運な形で先制点を許した川崎Fだが、ここから反撃に出る。前半32分、野沢のFKをGK相澤が好セーブでしのぐと、同34分に小宮山が強烈な左足ミドル。徐々に攻撃の圧力を強めた。そして前半39分、右サイドでボールを持った黒津がドリブルでカットイン。イ・ジョンスをかわして左足を振り抜き、豪快にゴールネットを揺らした。

 1-1の同点に追い付き、さらに勢いに乗りたいところだったが、この直後に川崎Fにアクシデントが襲う。前半42分、マルキーニョスのドリブルを止めた稲本がこの日2枚目の警告を受け、退場に。数的不利に立たされると、中村をアンカーに置き、右の田坂、左のヴィトール・ジュニオールとのトリプルボランチ気味の4-3-2で対応し、なんとか残り3分をしのいで後半に折り返した。

 数的優位の鹿島はなんとしても勝ち越し点を奪いたかったが、なかなか川崎Fの粘り強い守備を破れない。後半7分、フェリペ・ガブリエルが野沢とのワンツーでPA内に走り込み、左足でシュートを打ったが、GK相澤が体を張ってセーブ。再三のクロスもゴール前のFWとタイミングが合わなかった。

 川崎Fは10人ながらも黒津が前線で体を張って起点となり、積極的にゴールを狙う。後半13分には黒津が左足で際どいミドルシュートを放ち、同17分にはヴィトール・ジュニオールの左クロスからレナチーニョがヘディングシュート。ボール支配率では劣りながらも、ゴール前の決定的な形は川崎Fの方が多かった。

 リズムを変えたい鹿島は後半18分、フェリペ・ガブリエルに代えてMF遠藤康を投入。同27分にはジウトンを下げ、FW佐々木竜太をピッチに送り込む。DFの枚数を減らし、一気に攻撃に人数をかけると、同30分、強烈なミドルシュートをGK相澤が前にこぼしたボールに大迫が詰めたが、決定的なシュートはポストに当ててしまった。

 後半31分の田坂、同33分の遠藤と互いに鋭いミドルシュートを放つが、両GKが好セーブを見せる。攻守の目まぐるしく変わる激しい展開となった激闘に終止符を打ったのは鹿島のイ・ジョンスだった。後半34分、野沢の右CKに頭で合わせる勝ち越し点。土壇場で再びリードを奪った。

 鹿島は得点直後の後半37分に遠藤に代えてMF青木剛を投入。中田を左サイドバックに下げ、再び4-4-2に戻して逃げ切りを図る。川崎Fも同36分に伊藤に代えてMF登里享平、同42分にレナチーニョに代えてMF谷口博之を投入し、同点ゴールを目指したが、反撃及ばず、そのまま1-2で敗れた。

(取材・文 西山紘平)

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