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大久保が後半ロスタイムにPK弾。「外してもいいやくらいの気持ちで蹴った」

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[7.17 J1第13節 F東京2-2神戸 味スタ]

 やはりこの男だ。最後の最後で意地を見せた。ヴィッセル神戸の日本代表FW大久保嘉人が、後半ロスタイムに貴重なPK弾を決めて同点に導いた。

 「大きいですよね。引き分けられて。この勝ち点1は大きい。PKは緊張した? いや、外してもいいやくらいの気持ちで蹴った」

 後半ロスタイムも規定の4分がすぎ、あと少しで試合が終わろうかというところだった。神戸選手が放り込んだボールを、ゴール前の競り合いでFC東京DF森重真人がハンドを犯し、PKをゲットした。大久保はすぐさま自分で拾いに行きボールをセット。迷うことなく、右下に蹴り込んだ。

 PKといえば、思い出されるのが、W杯決勝T1回戦のパラグアイ戦。しかし、大久保に“トラウマ”はなかった。「狙ったところにいった。GKが動くかなと思ったけど、動かなかったから、コースを狙った」と涼しい表情で振り返った。

 W杯では左MFとして全4試合に先発し、日本代表の16強入りに貢献した。この日も代表と同じ4-5-1の左MFで先発。何度もボールに絡み、起点になろうとした。だが、F東京にカウンターから前半に2失点。何度も天をあおいだが、勝利をあきらめなかった。

 ハーフタイム。大久保が仲間にひと声かけた。「ボッティにボールを集めたら、チャンスを作れる。集めよう」。試合を冷静に見つめ、どうすれば1点、同点につながるか考えてゲキを飛ばした。これが功を奏した。後半、神戸はシンプルに司令塔のボッティにつなげ、カウンターを狙う。そして後半39分にボッティが個人技で突破して1点を返すと、チームは勢いに乗る。最後は自らがPK弾を決めて2-2に持ち込んだ。

 「試合前に、両サポーターから拍手で迎えられた? うれしかったですね。Jリーグで頑張りたいです。次は勝ちたい」。再び海外移籍を夢見ているようだが、今は、Jリーグで全力投球することを誓った大久保。この日はPK弾だったが、次は流れの中でゴールを決めてファンを熱狂に包む-。W杯で盛り上がったサッカー熱を冷まさないためにも、大久保はゴールを狙い続ける。

<写真>神戸FW大久保
(取材・文 近藤安弘)

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