beacon

世界での経験を進化につなげる岡崎、貫禄の3戦連発

このエントリーをはてなブックマークに追加

[8.1 J1第16節 湘南3-6清水 平塚]

 世界の舞台から帰ってくるたびに進化を遂げている。清水エスパルスのFW岡崎慎司が3戦連発弾を決めた。前半12分、DF市川大祐の右クロスにゴール前のヨンセンがDFと競り合うと、こぼれ球が目の前へ。押し込むだけのゴールだったが、南アフリカW杯から帰国直後の夏場の過密日程という厳しいコンディションの中で、確実に結果を残し続けている。

 「連続した動きがしんどい。普段なら2個ぐらい追えるところが追えなかったり。走れているなと感じる時期と比べると、まだまだ。今日も20分ぐらいからしんどかった」

 現在のコンディションを率直に認めた岡崎は南アフリカで高地順化が遅れていたことも明かした。「喘息を持っているのもあって、向こうでも(高地に)慣れるのが遅くて…。向こうで高地トレーニングして、いきなりこっちに戻ってきた。また戻ってきてからも(コンディションの回復が)遅れて」と言う。

 本大会直前に先発の座を失い、4試合すべて途中出場に終わったW杯。しかし、その悔しさもパワーに変えることができる。屈辱の3戦全敗に終わった08年の北京五輪でも、帰国後初戦は途中出場で無得点に終わったが、その後4戦連発5得点とゴールを量産し、同年秋のA代表初招集につなげた。

 今回も帰国初戦の磐田戦(0-0)は無得点だったが、続く名古屋戦(3-3)、C大阪戦(3-2)、そして湘南戦と3戦連発。特に名古屋戦のゴールは、PA外でゴールに背を向けた状態でパスを受け、素早い反転からゴール右上隅に叩き込むスーパーゴールだった。

 アルゼンチン代表FWカルロス・テベスが決勝トーナメント1回戦・メキシコ戦で決めた豪快ミドルを彷彿とさせる一発。実は試合前にその試合の映像を見て、イメージを膨らませていたのだという。W杯で得た経験、世界から受けた刺激が、確実に岡崎の血となり肉となっている。

 「結果を求めていつもやっているし、チーム内に点を取れる選手がたくさんいる。チームメイトとライバルとして争いながら得点ランキングも意識しているし、それがモチベーションになっている」。第16節終了時点で、岡崎は通算8得点で3位タイ、藤本淳吾ヨンセンがそれぞれ7得点で6位タイ。3トップが互いに競い合い、切磋琢磨している。

 「点を取れているのはいいことだし、もっと取れるシーンもある。これからもっともっとよくなる」。岡崎が完全復活した日には、清水のタイトル獲得もいよいよ現実味を帯びてくる。

<写真>3戦連続ゴールの清水FW岡崎(23番)
(取材・文 西山紘平)

TOP