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[MOM284]米子北FW谷尾昂也(3年)_09年得点王「昨年と違う自分を」

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.2 全国高校総体2回戦 鹿島学園 0-1 米子北 具志川多種目球技場Bコート]

 「自分がチャンスを外していたので、最後に決められてよかった」。攻め込みながらもリードを奪えない展開に米子北のエースストライカー、FW谷尾昂也(3年)は責任を感じていた。準優勝した昨年は6得点で得点王を獲得。そして迎えた今大会初戦、マークが厳しくなるのはわかっていた。「マークは厳しくなるだろうけれど、昨年は昨年。昨年とは違う自分で頑張る」とこの1年間で磨いたキープ力やダイレクトでのパス捌きで、チャンスの数を増やしていた。

 ただ、期待されたゴールを奪えないまま試合終盤へ。PK戦決着となる可能性が高まる中で、何とかしたかったエースは意地のゴールでチームに勝利をもたらした。後半33分、自陣からのFKを途中出場のFW山本健太郎が頭でDFラインの背後へと流す。「ボールがくることを信じていた」と走り出していた谷尾は一気にゴールへと迫ると、GKとの1対1を落ち着いて決めて決勝点を奪った。

 大会屈指のストライカーとして注目を浴びる今大会。ただ、川崎FなどJクラブの練習参加を経験して高校レベルとのスピードの差を体感した。そして決めるべきところで決める必要性も。だからこそ、劇的勝利をもたらした決勝点の喜びよりももっと早い時間に仕留めたかったという思いの方が強い。「もっとチャンスがあるんで、一つひとつ確実に決められるようにしなければダメ」。

 目の前の1試合1試合を確実にものにしながら、昨年越えを目指す米子北。エースは昨年と違う自分を見せながら昨年と同じように得点王のタイトルを獲得し、昨年あと一歩で手の届かなかった日本一のタイトルとの2冠を成し遂げる。
 
(取材・文 吉田太郎)

平成22年度全国高校総合体育大会「美ら島沖縄総体2010」
連載:高校マン・オブ・ザ・マッチ

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