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闘莉王が劇的ロスタイム弾。“因縁”の今野の上からヘディング!

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[8.8 J1第17節 F東京0-1名古屋 味スタ]

 J1第17節は8日に各地で2日目が行われ、東京・味の素スタジアムでは暫定12位のFC東京と同3位の名古屋グランパスが激突した。試合はともにチャンスを作りながらスコアレスで進んだが、後半49分にDF田中マルクス闘莉王がヘディングシュート決めて1-0で名古屋が勝利。鹿島を抜いて2位で前半戦を折り返した。

 F東京は4日のスルガ銀行チャンピオンシップで先発し得点も決めたFW平山相太、同じくこの一戦で先発し調子を上げてきたMF石川直宏がそれぞれリーグ戦5試合ぶりに先発した。負傷離脱していた徳永悠平もベンチ入りを果たすなど明るい材料が増えてきたと思われたが、守護神の権田修一が急性腸炎で急遽、メンバー外となった。

 システムは4-4-2でGKは塩田仁史、DFラインは右から椋原健太、今野泰幸、キム・ヨングン、中村北斗。中盤はボランチが森重真人と梶山陽平、右MFは石川直宏、左MFは羽生直剛が入り、2トップは平山相太と大黒将志が組んだ。

 名古屋はMF中村直志が右ハムストリングス肉離れで離脱したが、代わりに実力者のブルザノビッチが先発した。ほかは不動で、システムは4-3-3。GKは楢崎正剛、DFラインは右から田中隼磨、田中マルクス闘莉王、増川隆洋、阿部翔平が入った。中盤はアンカーがダニルソン、2列目にはブルザノビッチとマギヌン。3トップはケネディを中央に据え、右に金崎夢生、左に玉田圭司が構えた。

 序盤、F東京が主導権を握る。右の石川がワイドに開いて縦を狙い、そこから大黒や平山、逆サイドの羽生も絡んで攻め込んだ。開始3分には平山のポストプレーから羽生がクロスを入れ、大黒がヘディングシュート。同4分には右CKから森重が頭で合わせた。いずれも枠を外したが、リズムは良かった。

 名古屋も中盤でボールを回すが、バイタルエリアでは個人での突破が目立ち、崩しきれない。それでも前半4分、金崎の右クロスをケネディがヘディングシュート。これは叩き付け過ぎてワンバウンドして上に外れたが、アジア屈指の点取り屋が“一発の怖さ”を見せた。

 その後もF東京がサイドと中央をバランスよく使って仕掛ける。前半10分には石川の突破から最後は羽生がシュート。しかし、これはDFに当たりCKに逃れられた。同18分にはPA左で縦パスに抜け出した平山が左足で強烈なシュート。弾道からして入ったかに思えたが、クロスバーの下側に当たってバウンドし、間一髪でクリアされた。

 名古屋はマギヌン、ブルザノビッチを起点に仕掛けようとするが、ゴール前での崩しに工夫がない。ダニルソンが何度かミドルシュートを放って打開しようとしたが、精度を欠いたため脅威を与えられなかった。

 その後もF東京がチャンスを作る。前半30分にはPA右で平山がドリブルで仕掛け、増川を抜いてPA内を侵入した。増川に斜め後ろから足を出されて転倒したが、これはボールに行っていたため、PKは得られなかった。

 その5分後にはドリブルから石川が、さらに同39分には平山がシュートを放ったが、いずれもGK楢崎の正面でセーブされた。前半はF東京が好機をつくりながらも、名古屋が闘莉王を中心に跳ね返し0-0で折り返した。

 後半、名古屋がサイドをうまく使い押し込み始める。後半12分に絶好機を作った。右サイドからのFKで、玉田のキックにケネディが頭で合わせる。フリーの状態で得意のパターンだったが、わずかに左に外し、決定機を逃した。その4分後には田中の右クロスに中央で金崎がヘディングシュート。こちらも好機だったが、枠を捉えられずにわずかに右に外した。

 F東京は後半14分、羽生に代えて徳永悠平を投入。そのまま2列目に入れた。対する名古屋は後半23分、ブルザノビッチに代えて小川佳純を入れ、中盤の構成力を上げようとした。

 その後、やや間延びし、一進一退の攻防が続く。名古屋は後半28分、中央やや左約25mの位置からダニルソンが強烈な直接FKを放った。間一髪でGK塩田が防いだが、迫力のあるシュートで観衆を沸かせた。

 F東京は後半33分、平山に代えてルーキーのFW重松健太郎を投入。同時に名古屋は玉田に代えてFW杉本恵太を入れた。ともに縦に速い選手を入れて1点をもぎ取りに行った。両軍ともさらに選手を入れ替えて攻勢を仕掛ける。後半37分、名古屋はマギヌンに代えてMF三都主アレサンドロを、その1分後にはF東京が石川に代えてFWリカルジーニョを送り出した。

 F東京は勝てば、5勝7分け5敗と星を五分に戻し11位で、名古屋は鹿島を抜いて2位でシーズンを折り返すという状況。ともに最後まで勝ち点3を狙い、攻め込んだ。F東京は後半42分、PA内左で横パスを受けたリカルジーニョが右足でシュート。右下を丁寧に狙ったが、力なくGK楢崎にセーブされた。

 対する名古屋は後半44分、小川がドリブル突進から強烈なミドルシュート。低い弾道でゴール左下を襲ったが、GK塩田に間一髪で触られCKに逃れられた。ロスタイムは3分。ともにあきらめない姿勢を見せて好機を作るが、なかなかゴールが割れなかった。

 ロスタイムもあとわずかとなり、0-0のまま試合が終わるかと思われた中、田中マルクス闘莉王が劇的な決勝弾を奪った。左サイドでのFKを三都主がゴロパスで前線へ入れ、金崎がキープ。その折り返しを三都主がクロスを入れ、闘莉王がファーサイドで、それも今野の上からヘディングシュートを突き刺した。日本代表でともに戦い、7月1日のW杯帰国会見で今野が「集まれ~」と闘莉王のモノマネをやり“因縁”となっていた2人が絡んだ形で、勝敗が決まった。

<写真>後半ロスタイムに劇的な決勝点を決める闘莉王
(取材・文 近藤安弘)

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