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C大阪が王者も飲み込む、それでも乾は「まだ首位に立てるチームじゃない」

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[8.21 J1第20節 鹿島0-1C大阪 カシマ]

 ついに首位も射程圏に捉えた。今季J2から昇格したばかりのチームが3連覇中の王者を撃破。セレッソ大阪が3連勝で暫定2位に急浮上した。

 後半10分、右サイドの細かいパス交換からDF高橋大輔が前線にスルーパスを送る。これに反応したMF乾貴士がフリーで独走。右サイド角度のない位置から右足を振り抜くと、シュートはクロスを警戒し、前めにポジションを取っていたGK曽ヶ端準の体に当たってゴールネットを揺らした。

 「GKの動きがなんとなく分かるというか、先読みをするGKが多い。だからニアに入れるのは好きな方かな。思い切って打ってよかったと思う」

 自画自賛の先制弾。あとは鉄壁の守備陣が鹿島の反撃を封じ込めるだけだった。DF上本大海、DF茂庭照幸の両CBがバランスよく堅守を敷き、鹿島にシュートチャンスさえつくらせない。後半の被シュートはわずか3本。後半39分、FW興梠慎三とのワンツーから放ったMF野沢拓也の決定的なシュートもGK松井謙弥がビッグセーブでゴールを守った。

 最近12試合で8勝3分1敗。怒涛の快進撃は王者も飲み込んだ。好調の要因を聞かれた乾は「後ろが守ってくれて、こういう厳しい試合でもゼロに抑えてくれている。それが勝っている要因」と即答する。

 乾、MF家長昭博ら攻撃陣に注目が集まりがちだが、今季20試合で18失点はリーグトップの数字。堅守を支える上本は「ひとりひとりの守備範囲がどんどん広がっている。カバー、次のカバーと明確にできているからゼロに抑えられた。鹿島相手にゼロは次につながるし、自信になる」と胸を張った。

 名古屋、清水が明日に試合を控えているとはいえ、首位・名古屋と勝ち点2差の暫定2位。一気に優勝戦線に食い込んだ。「順位より、まずひとつひとつ勝っていかないと。(シーズンの)最後の方になったら嫌でも意識するし、それまでは意識しないでやっていきたい」と乾は言う。

 「まだ首位に立てるようなチームじゃない。挑戦者として、鹿島とか清水とか、いろんチームに追い付けるようにやっていきたい」。4シーズンぶりに戻ってきたJ1の舞台。C大阪に失うものはない。

<写真>C大阪MF乾
(取材・文 西山紘平)

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