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[SBS杯]“仮想アジアユース”U-19代表がアクシデント乗り越え優勝

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[8.24 SBS杯最終戦 U-19日本代表 4-3 静岡ユース エコパ]

 SBS杯国際ユースサッカーは24日、静岡県袋井市のエコパスタジアムで大会最終日の2試合を行い、10月にAFC U-19選手権を控えるU-19日本代表が、FW永井龍(C大阪)の3試合連続ゴールとなる先制弾などにより、静岡県内の高校生で結成された静岡ユースに4-3で勝利。3戦全勝で優勝を飾った。なお、第2試合でU-19ガーナ代表を4-0で下したU-19スペイン代表が2勝1敗で2位。以下3位・ガーナ、4位・静岡ユースで全日程を終了した。

 U-19日本代表はこの日、2戦連続2ゴールの永井のパートナーとして、日本クラブユース選手権(U-18)大会MVPの小林祐希(東京Vユース)をFW起用。4-4-2システムの中盤は六平光成(中央大)と加藤大(新潟)のダブルボランチで右が小島秀仁(前橋育英高)で左が古田寛幸(札幌)、4バックは右から古林将太(湘南)、キローラン木鈴(東京Vユース)、寺岡真弘(関西大)、阿部巧(横浜FC)。GKは川浪吾郎(柏)が先発した。一方、静岡ユースはU-17日本代表のFW風間宏矢の1トップで、その下の位置にMF柴原誠(清水ユース)が入る4-5-1システムで格上のU-19代表に挑戦した。

 試合後、U-19代表の布啓一郎監督は「勝ち点3取れて、勝ち点9で終われたことは収穫」と感想を述べた。ボールを回して相手を崩すことができていたこの日のU-19代表は試合開始直後の前半4分、左サイドでインターセプトした阿部からのクロスを受けた永井がDFのタックルを交わして右足でゴールを破る。阿部が「相手ボールを奪ってからシンプルな形でとったゴール。ショックを与えられる取り方だったと思う」と振り返った先制後も、U-19代表は素早くボールを動かして静岡ユースのDFを剥がし、ゴールへと迫った。

 相手のコンディションが万全ではなかったとはいえU-19スペイン代表、U-19ガーナ代表を連破しているU-19代表は実力差を示して快調に試合を進めたがこの日は、アクシデントがチームを襲う。16分に右足を痛めた六平がMF藤田息吹(慶應義塾大)と交代。後半には途中出場のFW杉本健勇(C大阪)が同じく右足を痛めてピッチを後にした。大きな負傷ではないようだが臀部の打撲により欠場したFW指宿洋史(ジローナ)も含めてけが人が続出。また守備面の乱れはチームにとって大きな反省点となった。風間のスルーパスに抜け出した柴原にPKを含む2点を献上し、セットプレーの流れからU-17日本代表DF木下高彰(浜松開誠館高)に頭で押し込まれるなど静岡ユースの抵抗に思わぬ3失点。指揮官も「反省して修正する」と厳しい表情だった。

 それでも好調な永井がこの日もゴールを奪い、前線で自由を与えられた小林が攻撃の起点としてボールに絡んだだけでなく、カウンターからDFラインの背後を突いて2ゴール。後半にもスルーパスで右サイドを破った小島の折り返しを後方へ落とし、菊池大介(草津)のゴールをアシストするなど収穫となった。
 また杉本負傷後は10人で戦いながらも途中出場からボランチに入った平出涼(F東京)、右SB岡本拓也(浦和)ら全員でリードを守りきって勝利。阿部が「アジアでもこういう試合はある。ひとついい経験ができた」と語ったように、アクシデントを乗り越えての勝利はU-20W杯出場を懸けた戦いでも間違いなく生きてくるはずだ。
 9月の仙台杯国際ユース大会を含めて“仮想・アジアユース”はまず前半戦を3連勝。今回、動きのやや重かったスペイン、ガーナと実力が劣る静岡ユースとの対戦でやや底力が試されていない感もあるが、仙台杯でもアジアにつながるような戦いぶりでU-19ブラジル代表、U-19フランス代表、U-19中国代表から勝利をもぎ取る。

(取材・文 吉田太郎)

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