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大学生と前半0-0も“想定通り”F東京焦らず3回戦へ

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[9.5 第90回天皇杯2回戦 F東京 2-0 駒澤大 味スタ]

 想定どおりの後半勝負だった。FC東京は前半、Jクラブを食おうと意気込む駒澤大の勢いに押し込まれる時間が長かった。FW重松健太郎の直接FKや右サイドを抜け出したMF鈴木達也のクロスに走りこんだMF大竹洋平が決定的なシュートを放つ場面もあったが、相手DFの競り合いの強さ、パスコースを的確に限定してくる守りの前に無得点。格下の大学生相手にも関わらず、PA付近で積極性を欠く場面もあった。“煮えきらない”、と感じる観客がいても全く不思議ではない試合展開。ハーフタイムには一部サポーターからブーイングも巻き起こるほどだった。

 だが試合前、選手たちに「前半は0-0で終わるだろうと言っていた」という城福浩監督、FC東京のメンバーに焦りは見られない。「大学生相手に何をやっているんだという声もあった。でも本当のファンは(自分たちがハードスケジュールを戦っていることを)分かってくれている」と城福監督。夏場の連戦に加えて、チームは1日にナビスコ杯準々決勝第1戦の清水戦を戦ったばかりで、3日後には指揮官が「ビッグゲーム」と説明した清水との第2戦(アウェー)が控えている。大学生相手とはいえ、主力を温存し、若手中心のメンバー構成で戦ったチームにとって0-0で前半を終えたことは決して悲観するものではなかった。

 その分析どおり、試合の流れは後半F東京に大きく傾く。故障明けで最大45分間の出場予定だったというMF徳永悠平とMF羽生直剛を後半開始から投入すると、徳永の局面での強さと羽生のフリーランニングの前にリズムを崩した駒大は自分たちのサッカーを続けられなくなった。
 そして13分、ゴール正面左寄りの位置で獲得したFKを「あの位置はチャンス。自分が得意とするコースだったのでフカさないことだけ考えた」と語るMF松下年宏が右足で直接を叩き込んで先制に成功した。28分には羽生の右アーリークロスをFW平山相太が頭で合わせ、思惑通りの後半2得点で勝利。指揮官も「次のラウンドへ進むことが最大にして唯一の目標だったので達成できてよかった」と満足げだった。

 視線はすでに8日のナビスコ杯・清水戦へと向けられている。平山は「1-1なので点を取らないと上にいけない。アグレッシブにいきたいと思う」。この日は勝つことだけを考えた省エネサッカーを貫いたF東京だったが、3日後は点を取って勝つために立ち上がりから積極サッカーを展開する。
 
(取材・文 吉田太郎)

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