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川崎F、今季初のホーム敗戦。想定外の疲労に交代策で後手……

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[9.11 J1第22節 川崎F1-3横浜FM 等々力]

 川崎フロンターレは過密日程に泣き3連敗。リーグ戦では今季初めてホームの等々力で黒星を喫した。8日にナビスコ杯準々決勝第2戦の鹿島戦を行ったため、中2日での横浜FM戦となった。相手は中5日。運動量が極端に少なく、逆転負けを食らってしまった。

 開始57秒で、CKのこぼれ球をエースのジュニーニョが押し込んで先制に成功した。しかし、15分前後から横浜FMに流れを奪われた。セカンドボールが拾えない。試合開始の気温が32度と猛暑の影響もあり、早い段階で運動量が落ちた。前半ロスタイムに失点して追いつかれた。これで計算が大きく狂った。

 「1-0で折り返せればハーフタイムに修正をかけてと思ったんですが、前半のロスタイムの失点が痛かった」

 高畠勉監督は悔しそうな表情を浮かべた。先制はしたが、前述の通り、運動量が落ちて後手に回った。1-0で折り返してハーフタイムに守り切る作戦を指示することも頭に浮かんでいたが、土壇場で追いつかれた。ベンチには中村憲剛と谷口博之の“切り札”がおり、彼らを一気に投入して流れを変える作戦を試合前から練っていた。

 しかし、誤算があった。選手の疲労度だった。大半の選手がバテバテで、指揮官は誰と交代させるかを考えているうちに、采配が後手に回ったという。

 高畠監督は「憲剛と谷口を一緒に代えたというところで、あとは人選です。そこのところで、ちょっと考えました。3点目が入る前に見切れていればよかったんですが、時間帯的には15分はもつと思っていたので……。結果論として3点目を取られる前にあの2人を入れて流れを変えたかった」とうつむいた。

 後半4分に兵藤にミドル弾を決められて逆転された。このシュートも、フリーの状態だった。運動量があれば、誰かしらがプレスにいけて、シュートすら打たせないで済む可能性があった位置だった。稲本潤一、横山知伸のダブルボランチを含めて人数はいたが、足が止まっていた。後半18分のダメ押し弾も、俊輔のスルーパスだが、これもマークがゆるかった。DFラインも出足が遅れた。何よりこの日、俊輔をフリーでプレーさせ過ぎた。

 高畠監督は会見後の囲み取材で「選手交代の時間は? 早めにとは思ったけど……。もう少し見極めを早くして入れたほうが良かったかもしれない」と嘆いた。つまり、指揮官の想像を超えるほど、大半の選手が疲労で運動量が落ちたため、誰を代えようかといろいろと熟慮するうちに、3点目を入れられてしまったわけだ。

 いくら憲剛と谷口が実力者とはいえ、2点ビハインド、つまり残り25分ほどで3点を奪うのは難しかった。FW黒津勝は「ひとりひとりは勝ちたい気持ちはあったけど、どこか自分も含めて人任せなところがあったと思う。等々力で負けたのはかなりショックです」と嘆いた。

  これが中2日でなかったら……。選手たちは一様に「言い訳はしたくない。初めからわかっていたこと」と不満を漏らさなかったが、日本代表戦もあった中村憲剛は「体? 重かったです」と悲痛の表情を浮かべた。いつもは取材対応もしっかりしているが、この日は疲れと敗戦のショックで、言葉少なだった。

 3連敗のうえ、この今季初となる等々力での敗戦は、ダメージが大きいかもしれない。果たしてここから立ち直れるか-。順位は暫定7位で首位名古屋との勝ち点差は9に開いた。12日に名古屋が山形に勝てば12差となる。優勝へ、川崎Fは正念場を迎えた。

(取材・文 近藤安弘)

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