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[仙台カップ]宇佐美貫禄の2ゴール!U-19日本代表、中国に4発快勝で準V

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[9.12 仙台カップ最終戦 U-19日本代表 4-0 U-19中国代表 ユアスタ]

 第8回仙台カップ国際ユースサッカー大会は12日、大会最終日を迎えた。1勝1敗のU-19日本代表はユアテックスタジアム仙台でU-19中国代表と対戦し、4-0で快勝。2勝1敗、勝ち点6の2位でこの大会を終えた。なお、U-19フランス代表と2-2で引き分けたU-19ブラジル代表が2勝1分、勝ち点7で今大会の優勝を決めた。

 U-19日本代表は4-4-2の布陣。GKは中村隼(山形)、DFラインは右から岡本拓也 (浦和ユース)、田中優毅 (日本体育大)、内田達也 (G大阪)、古林将太 (湘南)、ボランチは平出涼 (F東京)と田口泰士 (名古屋)、右サイドハーフに菊池大介 (草津)、左サイドハーフに宇佐美貴史 (G大阪)、2トップは宮吉拓実 (京都)、重松健太郎 (F東京)となった。ゲームキャプテンは初戦と同じく菊池。なお、MF藤田息吹 (慶應義塾大)に加えMF小林祐希 (東京Vユース)が所属チーム事情で登録メンバーから外れた。

 試合開始から日本は中国陣内に果敢に攻め入りチャンスを作った。そして10分、右サイドでCKのこぼれ球を拾った田口がクロスボールを放ち、ファーサイドで待っていた古林がヘディングシュートを決めて日本が貴重な先制点を挙げた。「スタートで点を取れて主導権を握れた」とU-19日本代表の布啓一郎監督も語った通り、日本はその後落ち着いてボールを支配し、チャンスを作った。時折カウンター攻撃からピンチを招き、22分にはヤン・イフー(広州恒大)のFKがゴールの枠を捉えたが、GK中村の好セーブもあり、ゴールを割らせなかった。

 迎えた31分、同点に追い付こうと前がかりになっていた中国の裏をうまく突き、右サイドで相手のクリアミスを拾った菊池がゴール正面でフリーになっていた宇佐美へパス。フリーでボールを受けた宇佐美は、落ち着いてワンタッチでゴールにボールを流し込み、追加点を挙げた。宇佐美はさらに44分、PA近くゴール正面やや左の位置での直接FKをゴール左上隅に叩き込み、決定的な3点目を挙げた。

 後半に入ると、日本は一気に4人を交代。GK中村に代えて嘉味田隼(神戸)、ボランチの平出と田口に代えて遠藤航(湘南ユース)と風間宏希(ロウレターノDC)、左サイドハーフ宇佐美に代えて酒井高徳(新潟)を投入した。選手交代後はややバタバタする時間があり、パスミスから相手にシュートを許す場面もあったが11分、岡本からのFKをゴール正面で受けた遠藤がゴール左上隅にシュートを決めてダメ押しとなる得点を決めた。

 その後、20分に酒井が相手選手との接触で頭部4針を縫う裂傷を負い、FW杉本健勇(C大阪)と交代。これで日本は控え選手を全員起用した。杉本はFWに入り、最初は重松が、途中からは宮吉が左サイドハーフに入った。この後は互いに疲れからミスが多くなり、日本も中国も相手のミスから決定機は作ったものの、シュートが枠を捉えることはなかった。日本はピンチこそあったものの、最後まで集中力を欠かずに守りきってこのまま試合終了。4-0で快勝した。

 AFC U-19選手権(アジアユース)でも対戦の可能性がある中国相手に無失点での完勝は、アジアユースに向けて好材料と言えるだろう。DFラインには180cmを越える選手がおらず高さの面で不安視もされていたが、数的優位を作るなどして落ち着いた対応を行い、今大会は大きな問題を感じさせなかった。布監督は「失点ゼロで抑えたことは評価したい。DFラインだけでやるのではなく、FWや中盤も戻ってきてくれてカバーに入れた。ただし、失点を喰らってもおかしくない場面があった。横からのボールや縦に入ったボールへの対処は継続課題」と、3試合で2失点(うち1失点はPK)と安定していた守備を評価しつつも、今後の課題を挙げた。攻撃面でもブラジル戦ではコンディション不良から見せ場の少なかった宇佐美が、きっちりと2ゴールという結果を残すなど明るい材料も見られた。

 気になる選手選考だが、布監督は「チームコンセプトでずっと言ってきた、攻守に関わり続けられる選手かどうかということを見てきた。ボールを持っていない局面で早く良い準備ができるか、あとは選手にも調子があるので、調子が良いかどうかを見たい」と語った。SBSカップ(8月、静岡)、ならびにこの仙台カップでの選手たちのプレーを、自らのコンセプトに照らし合わせて検証した上で、アジアユースメンバーの最終選考がなされるようだ。なお、メンバーを決めた後で合宿を行うか、合宿に多めに人数を集めてその後メンバーを絞るかについては、日本協会や選手の所属チームとの調整もあるため、明言を避けた。

 ブラジル戦では攻守に課題が見えたものの、チームコンセプトにブレがなく、能力の高い選手も多いU-19日本代表。アジアユースに向けてはまずまずの成果を残したと言えるのではないだろうか。

 なお、優秀選手には、U-19日本代表から酒井高徳が選出された。酒井は頭部裂傷のケガを負っていたが、病院での手当を受けた後頭部にネットをした状態で元気にユアスタへ戻ってきて表彰を受けた。新潟サポーターの方はひとまず安心していただきたい。その他優秀選手にはU-19フランス代表のヤヤ・サナゴ(AJオセール)、U-19中国代表ジンジンダオ(延辺)、MVPにはU-19ブラジル代表のオスカル(インテルナシオナル)が選出された。 

(取材・文 小林健志)

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