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[選手権]総体全国4強・桐光学園“危機”乗り越え延長戦制す:神奈川

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[9.19 全国高校選手権神奈川県大会2回戦 桐光学園 2-1 三浦学苑 桐蔭学園G]

 全国高校総体4強の桐光学園が冷や汗の8強進出! 第89回全国高校サッカー選手権神奈川県大会2回戦で三浦学苑と対戦した桐光学園は延長前半6分にMF篠崎拓也が決めた決勝ゴールにより、2-1で辛勝。苦しみながらも2年ぶりの全国選手権出場へ前進した。

 笑顔なき勝利だった。「練習でもキレイにやり過ぎたところがあって、“泥臭く”が課題と言われていた。あとミスなくつなぐ部分とか練習ではできていたけれど、きょうは出せなかった。半分出せればバタバタしなかったかもしれない。でもきょうは3割くらいですね」。前半9分にCB福森晃斗が自陣左サイドから出した一本のパスで相手DFの裏を取り、鮮やかな先制ゴールを決めたFW菅原慶人主将も試合後は反省の弁ばかりが口をついた。

 全国的な強豪である桐光学園に対して神奈川県のライバルたちは比較的守りを固めて守り抜くプランを立てるチームが多い。ただ昨年の総体予選で桐光学園を破っている三浦学苑は、前から仕掛けることを選択。スピードに乗ったドリブルでボールを運ぶFW眞玉京、中盤で高い技術を示したMF佐藤真久瑞(ともに3年)が大きな起点となり、怯まずに試合を進めていく。
 
 FW坂本颯、MF菅能将也の決定的なシュートがゴールに結びつかない桐光学園は、コンビネーションの精度、判断に乱れが出始める。逆に1点ビハインドで前半を乗り越え、勇気を増した三浦学苑の勢いは止まらない。DFの背後とGKの間へ“何か起きそうな”ボールを落としていくと18分、右サイドからのアーリークロスに反応した眞玉が右足ダイレクトで合わせ同点に追いついた。

 焦りの見える桐光学園は攻守に消極的となり、リズムを取り戻すことができない。仕掛ける意識が曖昧だったり、必要以上にディフェンスに気をとられる選手らチーム内での意識もバラバラになっているように見えた。微妙にズレる時間が続いたチームは決定的な場面をつくれないまま後半終了を迎えてしまった。
 今夏、わずかに手の届かなかった全国制覇へ向けてスタートを切ったばかりのチームが、神奈川県2回戦で敗退の危機にさらされた。それでも佐熊裕和監督は延長前半開始からJ注目のCB福森を前線へ移し、その横に長期離脱から復帰した186cmFW田口広也を並べ、力ずくで1点をもぎ取りにいく。

 すると延長前半6分、SB館坂信也の左ロングスローの流れから途中出場の2年生FW佐野弘樹がDFを外して右クロス。これを「どんな形でも決めようと思っていた」という篠崎が頭で押し込み、待望の勝ち越しゴールを奪った。後半開始直後には三浦学苑の1年生DF宮坂瑠に決定的なヘディングシュートを放たれる場面があったものの、守護神、峯達也がビッグセーブ。苦しんだ桐光学園だったが1点リードを守り、一発勝負の選手権で最も大事な勝利だけは離さなかった。

(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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