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F東京は猛攻も無得点で10戦5得点……。大熊監督「あとは決めるだけ、という言葉は無責任」

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[9.25 J1第24節 F東京0-1大宮 味スタ]

 大熊清新監督の初陣で何としても勝利が欲しかったFC東京だが、シュート20本(大宮は12本)と攻め込みながらも決定力不足に泣いて大宮に0-1敗戦。これで(3分け7敗と10試合連続で勝ち星から見放された。

 J2降格圏の16位に沈むF東京は磐田に敗れた18日の深夜に城福浩監督の電撃解任を決め、19日に前日本代表コーチの大熊清氏の監督就任を発表した。どんなサッカーを見せるのか注目された中、2度目の監督就任となった新指揮官はまず、球際や運動量、シュートへの積極性など、メンタル的な要素から改革を着手した。練習では激しい口調で選手を叱咤する場面も見られた。 

 「本来の本質というところでは例えば球際だったり、ボールを回すことだったり、人が動くことなど一つではない。その本質の部分をもう一度、勝つために見直して練習してこの試合に臨みました」

 この日は球際でファイトした。中盤ではボール回しだけで終わらず、ゴールへ直結するプレーが増えた。布陣変更もプラスに働いた。この日は得点力不足を打開しようと、新指揮官はユース代表時代から“師弟コンビ”だったFW平山相太をリーグ戦4試合ぶりにスタメンに抜擢した。城福前監督時代はポゼッションを重視するあまり、シュートの積極性を欠き、ショートカウンターの迫力がなかったが、平山をターゲットにしながら縦に早くボールを入れ、前への意識を高めた。

 効果はあった。相手の2倍近い20本のシュートを放った。平山はシュート4本、リカルジーニョは同5本、石川直宏が同3本など攻撃陣が積極的にプレーした。石川は「迫力はでてきたし、次という感覚ではいます」と前向きに捉え、ボランチで攻撃陣を支えた徳永悠平も「やりたいサッカーは、特に前半は表現できていた。平山がいるし、一番はカウンター。前からプレッシャーにいって取れてカウンターという形は何本か作れた」と手応えを口にした。

 ただ結果的に“最後の部分”でツメが甘くなり、これで10戦5得点と得点力不足が続いている。大熊監督は「決定力という言葉で片付けてしまえば、あれだけチャンスがあるので、決定力というところに行き着くのかもしれません。でも、それでは解決しない。技術を伴ったアイデアという部分はすぐにはレベルアップするものではない。プライオリティとしては必ずシュートが上位になると思いますが、アタッキングサードの質を上げていきたいと思います」と、攻撃の質の向上を誓った。

 内容は上向いた。あとはゴールを決めて勝つだけだ。大熊監督は「あとは決めるだけ、という言葉は無責任で決定力という現実から逃げることになる。ゴール前でのアイデアとか、人を使うタイミングとか、最後のところでミスがあった。それをやっていきたい」とチームの克服すべき課題を明確にしている。次節は10月3日で相手は最下位の湘南。J1残留のためには再び負けられない“大一番”を迎える。

<写真>初陣を勝利で飾れなかったF東京大熊新監督
(取材・文 近藤安弘)

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