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ザック監督の前で権田がスーパーセーブ連発。14試合ぶりの完封勝利に導く

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[10.3 J1第25節 F東京3-0湘南 国立]
 FC東京は最下位の湘南を3-0で下して7月25日の湘南戦(3-1)以来、11試合ぶりの勝利をつかんだ。そのとき以来となる11試合ぶりの複数得点を奪った攻撃陣だけでなく、守備陣の奮闘もあった。
 無失点自体は8月28日の神戸戦(神戸ユ)以来4試合ぶりだが、完封勝利は5月9日の山形戦(NDスタ、3-0)以来、実に14試合ぶり。日本代表に復帰したGK権田修一のスーパーセーブ連発があってこそだった。
 「みんなの力で守って、完封ができました。ヨングンとか、今野さんとか、みんな体を張って守ってくれたんで、自分も頑張らないといけないと思った。1点取ったあと、すぐにナオさんの2点目が入って、あれでだいぶ楽になった」
 本人は謙遜気味だが、圧巻のプレーだった。2-0の前半44分、湘南DF臼井幸平に左サイドを攻め上がられ、45度から強烈なミドルシュートを放たれた。ボールは権田の右上に突き刺さるかに見えたが、鋭い反応で横っ飛びしてパンチングセーブ。嫌な時間帯での失点を防いだ。
 そして2-0の後半26分には、この日最大のピンチを防いだ。スルーパスでDFラインを破られ、湘南MF坂本紘司と1対1になったが、左足のシュートを落ち着いてストップしてみせた。この時間、湘南がリズムをつかみかけていただけに、名実ともにビッグセーブだった。
 元日本代表で、フランスリーグやセリエAの経験があり名GKを良く知るFW大黒将志も「ゴンちゃんがいいセーブをしてくれた。2、3回決定機を止めてくれた。ゴンちゃんは上背もあるし、手足も長い。先に動かない、いいキーパーです」と大絶賛した。
 視察に訪れた日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督も、権田の評価を高めたに違いない。ロンドン五輪世代のエース守護神だが、ザック監督の初陣となる8日のアルゼンチン戦(埼玉)、12日の韓国戦(ソウル)の日本代表に選出された。若手主体で挑んだ1月のイエメン戦以来となるA代表だ。
 本人はチームが下位低迷しているため、「選ばれたときは、実感がわかなかった」そうで、この日もザック監督が来ている事は知っていたが、チーム事情があり、「意識はしていなかった。この試合のことだけを考えていました。(勝利のためには、シュートを打たれないほうがいいため)GKは活躍してはいけないし」と振り返っている。
 だが、GKは楢崎正剛(名古屋)が代表引退を表明し、GK川口能活(磐田)も年齢的にブラジルW杯は微妙で、世代交代をしなければいけない。南アフリカW杯を経験した川島永嗣を中心に、北京世代の西川周作(広島)、そしてロンドン世代の権田の成長が欠かせない。
 「とりあず、きょうの試合が終わったので、明日から代表で頑張りたい。1回だけでなく、続けて選ばれるようにしないといけない。合宿や試合でアピールしていきたい」と権田。才能は疑いの余地はなく、あとは経験だけ。この日の勝利で心身ともにプラスに切り替え、日本代表のレギュラー争いに挑む。
(取材・文 近藤安弘)

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