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[選手権]「絶対叩くんだ」西武文理が因縁の元全国王者・浦和南撃破!:埼玉

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[10.10 全国高校選手権埼玉県大会2次予選L 西武文理 3-1 浦和南 西武台G]

 10日、第89回全国高校サッカー選手権埼玉県大会2次予選リーグ第2戦が埼玉県内各地で行われ、総体予選8強の西武文理が全国選手権優勝3回の古豪・浦和南に挑戦。3-1で勝ち、2連勝とした西武文理は過去最高タイとなる16強進出を決めた。

 今夏、過去最高となる総体予選県8強を達成した西武文理が「因縁」の相手を撃破した。この日対戦した浦和南は昨年、一昨年の総体予選で敗退に追い込まれていた相手。ゲーム主将を務めるMF中村昇平(3年)が「絶対叩くんだ、という気持ちで入った」と振り返ったように立ち上がりから攻勢を仕掛けた西武文理は、前半14分にその中村が右足FKを直接決めて先制に成功する。
 だが、わずか4分後、MF平岡直耶(2年)からのスルーパスで中央を破られ、MF斉藤悠旦(3年)に同点ゴールを献上。昌平との初戦を2-0で制している西武文理に対し、正智深谷との初戦を0-3で落とし、連敗する訳にはいかない浦和南は伝統校らしい厳しさをもって局面での攻防戦を制し、ボールポゼッションを高めた。

 ただ、雪辱に燃える西武文理も簡単には譲らない。どちらに転ぶか分からない緊迫した展開になった中盤戦。その試合は後半10分の“切り札”福山京太郎(3年)投入で西武文理へと傾いた。西武文理・山口豊監督は「福山はウチのキープレーヤー。だから彼の投入は自分たちのペースを上げるというメッセージなんです。同点で彼が入ればいけるというのがあった」。前日の昌平戦でも左足FKを決めるなど、その左足で存在感を放つ福山は期待通りの仕事をしてのける。
 17分だ。敵陣PA外でのこぼれ球に反応した背番号6が、浮き上がった難しいボールを左足で叩く。すると鮮やかな弧を描いたシュートはGKの指先を抜けてゴール左隅へと吸い込まれた。

 本来の武器である攻守の切り替えの速さを満足に生かすことができなかった西武文理は終盤、浦和南の必死の反撃に押し込まれることとなった。それでもスタミナに絶対の自信を持つチームは内田匡紀と山田邦彦(ともに3年)の両CBを中心に崩れない。逆に後半ロスタイム、左スローインからMF若林佑東(3年)が個人技で抜け出し、飛び出してきたGKの頭上を射抜くループシュート。これがゴールを破り、敗北の決まった浦和南イレブンは涙した。

 ついにリベンジを果たした西武文理だがこの勝利はまだ通過点。チームには最大のターゲットがいる。指揮官、選手たちも「西武台と戦うまでは負けられない」と口を揃える全国4強校だ。今夏の全国高校総体予選準々決勝で対戦した際は、後半34分まで0-0もそこから2失点し、敗戦。勝者は全国大会で3位へと躍進を遂げた。「あの時はここ(西武台高グラウンド)で相手の応援に飲み込まれて負けた。気持ちで負けてしまっていた。内容がよくなかったから満足できていない。だから西武台とやって勝ちたい。戦える自信はあります」と中村。チーム主将の内田も「西武台に勝つまで負けられない、という気持ちでやっている。勝って全国にいく。名前も知られていない西武文理の名前をもっと知られるようにしたい」。実績のない新鋭が抱く野望。果たして、全国4強校へのリベンジ、そして全国進出の夢は思い通りに描かれるか。

<写真>後半17分、福山(背番号6)の決勝ゴールを喜ぶ西武文理イレブン
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010

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