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湘南、阿部の劇的同点弾で鹿島とドロー。“ミラクル残留”につなげたい

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[10.16 J1第26節 湘南1-1鹿島 平塚]

 湘南ベルマーレのFW阿部吉朗が土壇場で大きな大きな同点弾を決めた。後半50分、鹿島DF岩政大樹と青木剛の連係ミスを見逃さず、こぼれ球にスライディングシュート。奇跡的な一発で貴重な勝ち点1をもたらした。

 「ボールが高く上がって相手のDF同士が重なり合うのを見ていた。たぶん岩政のほうが青木より(背が)大きいから、岩政に当たって、こっちにこぼれるかなと思っていた。勝ち点1でもチームには必要。取れて次につながります」

 泥臭さが売りのストライカーの真骨頂だった。この日、湘南は昨年から常用している4-3-3ではなく、4-4-2にシステムを変更。2トップにはいつもは左FWの阿部が入った。「いまではサイドのほうが得意になってしまったかも」と話すが、もともとは生粋のストライカーで最前線で力を発揮してきた。F東京時代には、当時の原博実監督(現日本協会技術委員長)に勝負強さと泥臭さを買われ、スーパーサブに君臨していた。

 強豪・鹿島を相手に久々の“本職”で躍動した。持ち味のスピードと積極性で、鹿島守備陣を困らせた。反町康治監督が「サイドバックもやらせてみたい」というほどの守備力と運動量を活かして、前線の守備でも貢献した。

 だが、前半25分のミドル弾はGKにセーブされ、後半開始3分のフリーでのシュートも枠を外すなど、最後のところで決めきれずに悔しい思いをしていた。「DFラインが頑張っていたので、どうにかしてゴールを決めたかった。それが最後の最後になってしまって……」と嘆いたが、結果は残して見せた。

 今季8得点とし、2年連続の二桁得点も見えてきた。J1では初めてのことで、ストライカーとして一つの壁を越えることになる。だが本人はチームのJ1残留のことしか考えていない。「きょうみたいなプレーを続けていければ、勝ち点が取れる。きょうは1だったけど、3取れるようにやっていきたい」と言葉に力を込めた。

 7月18日の京都戦(1-0)を最後に13試合勝利のない(4分9敗)状態に変わりはないが、今後に光の差す結果となった。勝ち点を16とし、試合終了の時点で暫定ながら京都を抜いて最下位を脱出した。午後7時から始まる清水-京都の結果次第ではそのまま17位となる。

 またJ1残留圏15位のFC東京が敗れて勝ち点は24のままのため、湘南は同8差に詰めた。今後、清水、名古屋、G大阪、C大阪と上位との対戦を残すが、この日の“ミラクル同点劇”を“ミラクル残留”につなげたいところだ。

(取材・文 近藤安弘)

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