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ナビスコ杯決勝前哨戦は譲らずドロー

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[10.16 J1第26節 広島 1-1 磐田 広島ビ]

 ナビスコ杯決勝の前哨戦は譲らずドロー――。9位・サンフレッチェ広島がホーム・広島ビッグアーチに11位のジュビロ磐田を迎え撃ったナビスコ杯決勝進出チーム同士の一戦は、前半5分にFW李忠成のゴールにより広島が先制したが、後半13分に磐田がFW前田遼一のゴールにより追いつき、1-1で引き分けた。

 日本代表の韓国戦(12日)でDF駒野友一が右上腕部を骨折した磐田に対し、広島もMF服部公太が天皇杯福岡戦(13日)で右第五中足骨骨折。ともに主力が離脱する中で迎えた一戦だったが、試合は序盤から互いがゴールを狙いあう激しい展開となった。

 前半5分にいきなりスコアが動く。ドリブルで中央突破した広島・李がPAでも強引にDFを打開すると、最後はDFからボールを遠ざけ、左足での柔らかいチップキック。鮮やかな弧を描いたボールはGK川口能活の頭上を抜けてそのままゴールへと吸い込まれた。

 李の4戦連発となるゴールで先制した広島に対し、磐田はMF船谷圭祐の強烈な左足ミドルなど反撃する。だが攻撃に人数をかけて相手に圧力をかける広島は25分、PAからMF高柳一誠、李、MF森脇良太が3連続シュート。怒涛の攻撃でゴールを破ろうとしたが、磐田は川口、DF古賀正紘を中心とした必死の守りで2点目を許さない。

 逆に13分、磐田は“広島キラー”の得点力が火を噴いた。11分に投入されたMF菅沼実の右クロスに対し、ニアサイドへ飛び込んだ前田が頭で流し込み同点。昨年からの広島戦4試合で5ゴールを決めているエースのゴールで試合は振り出しに戻った。

 「ナビスコ杯はナビスコ杯、リーグ戦はリーグ戦。別物」と両指揮官は口をそろえたが、勝利に対する意欲は変わらない。試合終盤、攻め合いは一気に過熱した。広島はMFミキッチ、FW山崎雅人とアタッカーを投入し、果敢に勝ち越し点を奪いにいく。だが、後半ロスタイムにDF槙野智章が放った決定的な右足シュートが川口に阻まれるなど得点できず。磐田も43分にカウンターから前田がDF2人を引き付けてラストパス。決定的な場面だったがFW成岡翔が右足シュートはGK西川周作のビッグセーブにあい、リードすることができなかった。

 1-1で終えた試合後のインタビューで磐田の柳下正明監督は「リーグ戦では勝ち点積み重ねることが大事。勝ち点1を上積みできたことはよかった」と満足げに話した一方、広島のペトロヴィッチ監督は「両チームにとってナビスコ杯決勝を戦う上でいい宣伝になったのではないか。決勝は経験値、決勝の(独特の)雰囲気など、リーグ戦と全く違う要素が絡んでくる。どう戦うか準備していきたい」。

 両チームが激しくシュートを打ち合った結果、互いに譲らず引き分けた前哨戦。両チームは日本一をかけた18日後の決戦でこの日の決着もつけにいく。

(文 吉田太郎)

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