beacon

サポーターもチームメイトも待ち望んだ164日ぶりゴール、原口「練習は嘘をつかない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[10.16 J1第26節 浦和2-0C大阪 埼玉]

 スタジアムに地鳴りのような歓声が鳴り響いた。浦和レッズは1-0の後半34分、MF原口元気が左サイドのタッチライン際からカットイン。DF2人をかわして中央に切れ込むと、右足を振り抜いた。アウト回転のかかった豪快ミドルがゴール右隅に突き刺さる。原口の今季2点目が試合を決定付けた。

 左から切れ込んで右足でシュート。ユース時代から最も得意としてきたフィニッシュの形だった。「何回も練習して、居残りでやったりもしていたのに、全然入らなくて。本当に練習したら上手くなるのかなと思ったこともあった」。磨きに磨きをかけてきた“武器”。練習の成果がようやく実戦で実を結び、喜びと興奮を隠せなかった。

 「やっぱり練習は嘘をつかない。練習してきてよかった。ユースのころから自分の得意の形だったけど、Jリーグでは初めて。決まってうれしい」

 原口にとって164日ぶりの感触だった。5月5日の名古屋戦(2-1)以来、16試合ぶりのゴール。貪欲にゴールを欲してきた原口だけでなく、サポーターもチームメイトも待ち望んでいた。MF高橋峻希は「サポーターの方はユース出身の選手が決めてうれしかったと思うけど、僕は“やっと入ったか”と思った」と笑った。DF宇賀神友弥も「(原口)元気とか若い選手が試合に出て、僕も含めて結果を残せれば、どんどん上のチームとの差が縮まってくると思う」と言う。大胆な世代交代を推し進めるチームの象徴とも言える原口のゴールが持つ意味は果てしなく大きい。

 これでリーグ戦は3連勝で8試合負けなし(5勝3分)。天皇杯を含めれば公式戦4連勝で10戦負けなし(7勝3分)となった。MF柏木陽介が「なんでこんなに勝ってるのかよく分からないけど」と苦笑いするように、決して内容が素晴らしく良いわけではない。この日のシュートはわずか6本。それでも数少ないチャンスをものにし、チーム全体の高い守備意識が完封に抑えた。

 「勝ち癖が付いてきたのかな」。柏木はさらりと言ったが、それほど心強いことはない。3位G大阪との勝ち点差は5。2位以下が大混戦の上位戦線で、赤い悪魔がACL圏内を射程圏にとらえた。

<写真>浦和MF原口
(取材・文 西山紘平)

TOP