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横浜FM・栗原、完封貢献も笑顔少なめ。一部サポーターに異例のお願い

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[10.17 J1第26節 横浜FM1-0神戸 日産ス]

 日本代表のアルゼンチン戦(1-0)と韓国戦(0-0)で2試合連続完封に貢献し評価を高めた横浜F・マリノスのDF栗原勇蔵が、チームでも奮闘して神戸戦の1-0勝利に貢献した。栗原は、神戸の長身FW都倉賢と南アフリカW杯日本代表FW大久保嘉人の2トップをDF松田直樹とともに、ミドルシュートばかりの計3本のシュートに封じた。視察に訪れた日本代表のアルベルト・ザッケローニ監督の前で改めて存在感を見せ付けた。

 「相手は強かったけど、ゴール前はやられなかったから良かった。大久保? やっぱり怖さがあった。外国人選手のようなもんだからね」

 リーグ戦4試合ぶりの勝利で6位に浮上した。日本代表でのモチベーションそのままに高さ、強さを発揮。中澤佑二が怪我で不在とあって、余計に存在感が際立って見えた。だが試合後、本人は決してご機嫌ではなかった。勝利の余韻は少なめで、一部サポーターへの苦言、お願いが口をついた。

 「一部のサポーターの方からブーイングをされた。僕らは勝つためにやっている。(試合を)楽しみたい気持ちは分からなくはないけど……。まずはチームの勝利が大事。1-0は、数的優位でも最後、セットプレーでやられるとか、何があるか分からない。サポーターの人も一緒に戦って欲しい。(もっと攻撃をしろというブーイングが)惑わすときがある。勝つためにやってるんで、今日は勘弁して欲しかった」

 この日、神戸は後半14分に1人退場し、同39分には2人目の退場者が出た。数的優位となり、たしかに大量点を望むサポーターの空気もあった。横浜FMは木村和司監督が楽しいサッカーをすることを目標にしており、栗原自身も、サポーターが喜ぶ試合を見せたい思いはある。

 だが相手は残留争いに必死で、格下とはいえ甘く見ると痛い目に合うケースも考えられた。なにより1-0でも勝てば上位に浮上し、数字上は残されている優勝、そしてACL出場圏内の3位以内という目標のため、内容よりも結果だけが欲しかったのだ。

 もともと攻撃参加が好きで、あの闘莉王にも負けない豪快な面もある選手だったが、チームの勝利優先を強く語ったのは、日本代表に選ばれ、精神的に成長した証といえる。

 「きょうは勝ててよかった。代表から帰ったばかりの試合で、大切だった」と栗原は代表で良い結果が出たからこそ、第一優先のマリノスでも結果を出すことが大事だったと思いを吐露した。フィジカルなど高い潜在能力に期待が集まる大器に、精神面や勝負への執念も身に付いてきた。いよいよ大型ディフェンダーとして“覚醒”しそうな気配だ。

<写真>横浜FM・DF栗原
(取材・文 近藤安弘)

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