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川崎F・矢島、3季ぶり2戦連発で4位浮上に導く

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[10.30 J1第28節 川崎F1-1磐田 等々力]

 完全復活だ。エースら主力3選手を欠いた川崎フロンターレを“帰ってきたストライカー”矢島卓郎が救った。0-1の後半31分、PA左で中村憲剛のスルーパスを受け、左足でワントラップして反転し、DFを抜き去って右足一閃。スケールの大きさをうかがわせる圧巻の同点弾を叩き込んだ。

 「憲剛さんだったんで、パスがあるかなと準備していた。あとはトラップが上手くいった。イメージどおりです。でも、勝っていないので微妙ですね」

 今季初先発した前節の大宮戦に続く2試合連続ゴールで、清水に在籍していた2007年以来3シーズンぶりの“連弾”を記録した。「ホームだし、ナビスコで負けていたんで、勝ちたかった。サポーターの人もそういう気持ちだったと思うので、引き分けじゃなく勝ちたかった」と悔しさばかりを口にしていたが、連続ゴールの話題になると、今季は怪我で出遅れ、前節が初のフル出場という状況だっただけに笑みを浮かべた。

 勝ちにはつながらなかったが、中心3選手不在の苦しい状況から救い、チームを4位に浮上させた一発だった。この日、前節に続いてジュニーニョが負傷欠場。元日本代表MF稲本潤一、右SBの森勇介が累積警告で出場停止と主力3人を欠いた。本来は攻撃的MFの田坂祐介が右SBに回る窮地だった。

 そんな中で矢島は大宮戦に続いて先発フル出場し、もう“代役”とは呼べない結果を残した。この試合の前、勝ち点45と同じながら得失点差で4位だったC大阪が首位の名古屋に敗戦。引き分けでも4位浮上という状況になったが、これを何とか導いてみせた。

 次節11月6日の京都戦にはジュニーニョが復帰する予定。そうなると矢島のほか、この日リーグ戦初スタメンを果たしたルーキーの小林悠、代わってスタメン落ちした黒津勝らFW陣の競争が激しくなる。この日の活躍で一気に2番手に浮上した可能性は高い。矢島は「誰がいるとかではなく、常に試合に出たい。使われるようにいいプレーをしたい」とスタメン定着に闘志を燃やしていた。

(取材・文 近藤安弘)

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