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鹿島、新旧代表5人の守備陣がトリプルタワー封じ。岩政「強さを周りに示せた」

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[11.7 J1第29節 鹿島1-0名古屋 カシマ]

 堅守が蘇った。『1-0』-。これぞ王者の真骨頂だ。鹿島アントラーズが首位の名古屋を1-0完封で下した。意地を見せたのはエースだけではない。新旧日本代表をズラリとそろえる守備陣が奮闘した。

 前半から鹿島がボールを回したことで、名古屋はケネディへのハイボールを多用した。鹿島が後半14分に先制し、さらに凄みを増す。そして後半31分、負傷がまだ完治していないが、攻撃力の高いDF田中マルクス闘莉王をFWの位置に入れてきた。終盤には191cmのDF増川隆洋も前線に上げて波状攻撃。危ないシーンは何度もあったが、日本代表DF伊野波雅彦と元日本代表DF岩政大樹、日本代表GK曽ヶ端準らセンターラインが体を張って、粘り強く守り抜いた。

 伊野波は「パワープレーはきつかったけど、(ボランチや2列目の選手を)最終ラインに吸収しないように、意識して前に上げてバランスを保つようにした。(前節の)新潟戦では引きすぎて、それでやられたから。意識して前に行かせるようにした」と対策を明かした。人数をかけて守ったほうが跳ね返す力は増すが、ルーズボールが拾えなくなり、二次攻撃の危険性がある。中盤にはセカンドボールを奪わせるため、なるべくDFラインだけで守ろうと試みた。

 後半41分には元日本代表MFでCBもこなせる青木剛が入り、セカンドボールとCBの前のスペースを生める役割を担った。ロスタイムには元日本代表DF大岩剛を入れ、伊野波、岩政の3人で、ケネディ、闘莉王、増川の“トリプルタワー”を封じた。

 “強い鹿島”は堅守が冴え渡り1-0のスコアが多かった。今年は土壇場でやられることが増えたが、大一番で本来の実力を発揮した。岩政は「1-0でこういう試合に勝てるのは、強さを周りに示せたし、自分たちでも確認できた」と胸を張った。伊野波も「今日の後半のような試合が前半からできれば、昨年、一昨年のアントラーズが戻って来る」と話した。

 これで名古屋との勝ち点を8差に縮めた。曽ヶ端は「この勝利によって、また自分たちの可能性を少し、広げることができた。優勝の可能性がある。僕らは勝つしかない」と残り5戦の全勝を誓う。岩政は「数字上は、(逆転優勝する)チャンスをつかむ挑戦権を得た」と鼻息を荒くする。泣いても笑ってもラスト5試合。何とか全勝し“天命”を待つ。

[写真]鹿島DF岩政(3番)と伊野波(19番)

(取材・文 近藤安弘)

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