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[MOM362]流通経済大柏MF古波津辰希(2年)_“10番封じ”の任務完遂

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[高校サッカー マン・オブ・ザ・マッチ]
[11.21 全国高校選手権千葉県大会決勝 流通経済大柏 1-0 市立船橋 市原臨海]

 「ミーティングから相手の10番のことだけ考えて、攻撃のことは一切考えなかった」。流通経済大柏で先発唯一の2年生、MF古波津(こはつ)辰希は全国高校総体王者である市立船橋を破った試合後、自分が担った“任務”についてそう振り返った。

 流経大柏が市立船橋で最も警戒したのは最前線に位置するFW水谷達也のポストプレーに絡む10番MF藤橋優樹と左サイドの快足MF石原幸治(全て3年)の存在だった。20日に行われた前日ミーティングで決まったのは古波津が藤橋、SB中西孝太(3年)が石原をマンツーマンで封じること。重責を任された古波津は本来、2列目からの飛び出しも魅力的なセンターハーフだが、この日は「10番を消すこと」だけに集中した。

 全国総体優勝の立役者である藤橋はマークを強引に外そうとドリブルを仕掛け、緩急をつけた動き出しで古波津を振り切ろうとした。ただ古波津は食いついて離れない。藤橋にシュート1本を放たれたものの、80分間得点につながる仕事はさせずに封じきった。試合終了のホイッスルとともにピッチに倒れこみ、その顔を覆った古波津。重圧から解き放たれて涙する2年生を先輩たちは優しい表情で輪の中へ迎い入れていた。

 攻撃のヒーローは間違いなく“ゴラッソ”な決勝ゴールをたたき出したエースMF吉田眞紀人(3年)だったが、勝因となったのは本田裕一郎監督が「古波津と中西がよくやってくれた」が評したように“キーマン潰し”を見事にやり遂げた選手たち。DF増田繁人主将に「2年生だけど自分たち3年生はすごく信頼している。自分の仕事をはっきりやってくれた」と讃えられた古波津は全国大会へ向けて「選手権の目標はチームとしては日本一。個人としてはもっと守備を完璧にしたい」と静かに闘志を燃やしていた。

(取材・文 吉田太郎)

【特設】高校選手権2010

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