beacon

[選手権]「攻め倒せ!」全国王者・山梨学院が怒涛の5発で再び全国へ!:山梨

このエントリーをはてなブックマークに追加

[11.27 全国高校選手権山梨県大会決勝 山梨学院 5-1 日本航空高 小瀬]

 山梨学院が全国連覇へ県大会突破! 第89回全国高校サッカー選手権山梨県大会決勝が27日、甲府市の小瀬スポーツ公園陸上競技場で行われ、昨年度日本一の山梨学院と初優勝を目指す日本航空高が激突。山梨学院が5-1で勝ち、2年連続2回目の全国選手権出場を決めた。山梨学院は1月2日、全国大会初戦となる2回戦で、全国V6回の名門・国見(長崎)と対戦する。
 
 「攻め倒せ!」。プレッシャー高まる全国出場決定戦。決勝の対戦相手、日本航空はスピードのあるFW堀江孝禎(3年)を中心としたカウンター攻撃を武器としていたが、山梨学院の吉永一明監督が選手たちに送ったメッセージは「背後のケア」ではなく「前へ」だった。ヴィニシウス、ラファエル(ともに3年)の両CBをストッパーに配置し、加えて内山輝也(3年)をスイーパーに置く5バックの守備的布陣をとる日本航空に立ち上がりはやや試合の流れをつかまれた。攻め込んでサイドはとっていた山梨学院だったが、日本航空の中央の守りは堅く、セカンドボールが立て続けに相手の元へこぼれていたこともあり、攻勢をスコアへ結びつけることができなかった。

 膠着した展開。相手に1本のシュートも放たせていなかったDF陣も、30分を過ぎると何とか1発を狙おうとする日本航空にシュートまで持ち込まれだした。それでも前へ仕掛ける山梨学院はCBの大黒貴哉(3年)が自らドリブルで仕掛けてCKを奪う場面があったほか、エースFW加部未蘭のスピードとキープ力などでセットプレーの数を増やすと38分だ。加部の反転シュートはGKに阻まれたが、これで得た右CKを2年生MF荒木克仁が左足でゴール前へ入れると、「頭で触って後ろへつなごうとした」10番MF白崎凌兵(2年)が後頭部に当て、これがそのままゴールへと吸い込まれた。

 「(シュートした感覚がなく)誰が入れたのか分からなかった」という白崎は苦笑い。意図していなかった形ではあったが、この1点が健闘していた日本航空の勝利への可能性を大きく減少させた。待望のリードを奪った山梨学院はさらに1分後の39分、右サイドを突いたMF堤建太(3年)からのパスをファーサイドで受けたMF長谷川紫貴(3年)が右足ダイレクトでゴールへと叩き込み、リードを広げる。

 1トップの加部、トップ下に位置する白崎を起点にサイドから堤、長谷川が突破を繰り返すなど迫力十分の攻撃で相手に襲い掛かった山梨学院。後半4分にも堤が右サイドをえぐって中央へと折り返す。これを受けた加部が切り返しによって一発でマークを外すと右足シュート。GKが弾いたボールを詰めていたMF宮本龍主将(3年)が右足でゴールへと押し込み3-0とした。

 止まらない山梨学院は10分にも中央を独走した加部のスルーパスを白崎が左足ダイレクトで決めて4点差。15分には左サイドで白崎が粘り、PAへ送られたパスを好トラップでおさえた加部が難なくゴールへとけり込み5点目を奪った。DFの枚数を減らして内山を中盤へ上げた日本航空は、MF唯井竣平主将(3年)の展開から堀江やMF檀崎君平(3年)がサイド攻撃を仕掛ける。相手ディフェンスの甘さを突いてカウンターから一気にPAまでボールを運ぶなど反撃し、30分にはPAへ縦に切れ込んだMF戸田悠人(3年)の落としを右SB原大地(2年)が左足ループで決めて1点を返した。

 1点を失ったことについて山梨学院の吉永監督は「(失点が)1ついたことは守備のミスではなく、攻撃の課題。攻め倒せなかったことが残念」と振り返ったが、それでも山梨学院が全国のライバルたちへのインパクト十分の5発大勝。過去3年連続で前年の全国王者が予選大会で敗れていたが、優勝旗を全員で国立競技場へ持ち帰ることに成功した。吉永監督も「(全国大会で)連覇できるチームは1チームしかない。ただ自分たちは一戦一戦積み上げていくしかない。プレッシャーを乗り越えてくれた選手たちに感謝したい」と注目された中でまずひとつの結果を出した選手たちを讃えていた。

 2連覇へ向けてまずは大きな関門を突破。攻守両面において決して完璧な試合内容ではなかったが、それでも余力を残しながら大勝した印象だ。宮本主将が「まだまだ甘い」と振り返ったようにチームとしての波があり、また今夏の全国総体では3回戦で敗退と今年はまだ全国舞台で求めている結果は残していない。
 ただし、「昨年に比べて負けるという心配をしていなかった。いい練習ができているし、レベルは上がっていると感じている」と宮本主将が説明したように全国で戦う手ごたえはある。その実力を示す決勝での5発勝利。加部と白崎のコンビなど昨年以上の攻撃力を備え、「自分たちはもっとできる」という王者が鮮烈な初出場Vを果たした昨年に続き再び選手権で爆発する可能性は十分にある。

[写真]前半38分、山梨学院MF白崎(左)が先制ゴール
(取材・文 吉田太郎)
【特設】高校選手権2010
(取材・文 吉田太郎)

TOP