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カズからの激励メールに応えた一発、神戸・朴が歓喜のカズダンス

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[12.4 J1第34節 浦和0-4神戸 埼玉]

 決死の先発だった。2-0の後半14分、試合を決定付ける3点目を奪ったヴィッセル神戸のMF朴康造は痛みも忘れて踊った。両腕を交互に振る“カズダンス”。かつて神戸に所属し、尊敬するFW三浦知良を真似た歓喜のパフォーマンスだった。

 23日の大宮戦(2-2)で左足かかとを負傷し、後半13分に交代。前節27日の清水戦(1-0)も欠場した。残留へ黄信号が灯る中、最終節での復帰を目指したが、ケガは完治していなかった。

 「痛み止めの注射を打っていた。試合の最後は注射も切れて痛かったけど、気持ちで頑張った」。後半ロスタイム、MF小川慶治朗がダメ押しの4点目を決めると、ベンチ前の歓喜の輪の中、和田昌裕監督の「残留や!」という声が聞こえた。

 「最後は涙で前が見えなくて、プレーできなかった」。痛みに耐えたフル出場。「プレッシャーの中で一丸となって戦えた。今日の試合だけじゃなくて、これからの人生の中で、あきらめずにやれば報われるんだということが分かった」。奇跡の逆転残留を果たし、試合後は目からあふれる涙が止まらなかった。

 1週間前、カズから激励のメールが届いた。11月14日の新潟戦(1-1)、23日の大宮戦(2-2)でもゴールを決めた朴だったが、チームは勝ち切れなかった。そんなときに「主役になれるように頑張れ」というメッセージが届いた。私服姿のカズが映った写真付きのメールだった。

 この日、カズも大分戦で自身の持つJリーグ最年長得点記録を43歳9ヵ月8日に更新するゴールを決めた。「カズさんも決めたんですよね? 今日は本当にカズダンスを踊れてよかったです」。キングのゲキに応える“アベックゴール”。目を赤く腫らした朴の表情に笑みが広がった。

[写真]カズダンスを見せたMF朴(7番)

(取材・文 西山紘平)

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