beacon

今野らタレント軍団の去就は?村林社長「みんなは残せない。人件費を払えるはずがない」

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.4 J1第34節 京都2-0F東京 西京極]

 2000年のJ1昇格以来、初のJ2降格となったFC東京。途中就任した大熊清監督は続投が既定路線だが、GK権田修一、DF今野泰幸、DF森重真人、MF徳永悠平、MF米本拓司、MF石川直宏、MF羽生直剛、FW平山相太、FW大黒将志のA代表経験者はもちろん、DF中村北斗、MF梶山陽平、MF大竹洋平、FW重松健太郎らアンダー世代の代表経験者が多数おり、“タレント軍団”の去就が気になる。

 村林裕社長は試合後、1年でのJ1復帰を至上命題に掲げたが、同時に運営費について「非常に厳しい」と吐露。現有戦力の確保についても「みんな残したいといっても、その人件費を払えるはずがない。みんな残すか?という質問には、みんなは残せないと応えざるおえない。ただ、年俸の高い選手を切っていくというやり方があるとして、そういうやり方はしないでいきたいと思っている。レンタル移籍させるケースもある? そういうのはあるんじゃないでしょうか。全員を抱えるなんて、甘いことは言えない。当然、移籍したいという選手もいるだろうし。今野にしろ権田にしろJ2のウチに置いていいのかというのはある」と苦しい胸の内を明かした。

 FC東京はすでに、J2に降格した場合の収入面をシュミレーション済み。入場料収入、スポンサー収入、リーグからの分配金など詳細を勘案した結果、運営費は大幅に減額する。具体的な金額は明かさなかったが、億単位の減収とみられる。そうなると高額年俸の選手や他クラブから良いオファーが来た選手は、放出せざるおえないようだ。村林社長は「支出はいろんなシュミレーションをこれからする。誤解があったら困るが、赤字になっても1年で帰ってくるために(主力の残留や新外国人補強を)やるのかとか、支出の面を考えないといけない」と明かした。

 この日、権田や平山など一部若手選手は残留を明言したが、今野ら主力選手は「今は何も考えられない」と話した。一体、どれだけの選手がFC東京に残るのか、また、残せるのか-。それが同時に来季、1年でのJ1復帰の成否に大きく影響してくる。主力選手の大半は複数年契約を結んでいるが、“例外”もありえるようだ。

 現在、大黒は東京Vから今季終了までのレンタル移籍中。すでに横浜FMなどからオファーがあり、残留は絶望的。そもそもクラブ側も高額年俸を理由に契約を延長しない方針のようだ。今野や石川も契約が残っているが、懸案となるはチーム一の年俸とされる今野か。これまでも浦和やG大阪など複数のクラブが獲得を狙ってきた選手。A代表でも主力に成長しており、正式オファーが届く可能性がある。そうなればクラブは財政面を考えて手放すかもしれない。

 梶山は海外志向が強く、代理人を通じて移籍に動く可能性は否定できない。当然、国内移籍もありえる。羽生は来季、年齢が32歳を迎え、また城福浩前監督が希望して獲得した選手でもあり、不透明な部分がある。徳永も年俸がFC東京内では高いが、複数ポジションをこなせる選手だけに、他クラブが獲得に動く可能性は十分。いずれにせよ、クラブ側は早急に戦力分析を行い、選手の残留の可否を決める方針だ。

 村林社長は、自らの責任の取り方については「J2になってしまったことは、責任があると思っている。ただ、一番考えないといけないのは、どうやって1年でJ1に帰ってくるか。落っこちたから責任を取って辞めればいいとうのは、ちょっと違うと思っている。今のFC東京は来年1年でJ1に戻ることがミッション。その中で僕がやるのかやらないのか、僕でないとしたら誰がいいのか。それを自分で考えるのか、株主さんがいるので、そういう判断を委ねるのか」と話し、今後は取締役会などで是非を問う可能性も示唆した。

 とはいえ、村林社長はメインスポンサーの東京ガスの出身。一部スポンサーなどは同社長だからこそ、引っ張ってこれているという現状もある。そのため、辞めるという形ではなく、J1に復帰させるという“責任”の取り方になりそうだ。最初の責任は、彼ら豊富なタレントたちを、いかにしてチームに残すかにある。

[写真]降格に肩を落とすDF今野

(取材・文 近藤安弘)

TOP