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京都はホームで意地見せ12試合ぶり白星。水本「未来に繋がる勝利になった」

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[12.4 J1第34節 京都2-0F東京 西京極]

 プライドをかけて戦った。すでにJ2降格が決まっていた京都サンガF.C.だが、ホーム最終戦とあって奮闘した。攻撃陣、守備陣ともに熱い戦いを見せFC東京に2-0勝利。J2降格へ“道連れ”にした。何より連敗を7で止め、リーグ戦12試合ぶりの白星をサポーターにプレゼントできたことがうれしかった。

 「最後、ホームの試合だったので気合が入っていました。先に点を取れたことが良かったと思う。勝てて本当に良かった。このまま、負けたままでは終われなかったので、僕らは試合前から絶対に勝とうと話していた。未来に繋がる勝利になったと思う」

 DF水本裕貴が満面の笑みで振り返った。J2降格が決まっていたとはいえ、副キャプテンという立場で何とか最後、心配ばかりかけてきたサポーターに勝利を届けたかった。また、今季限りで退団するエースの元日本代表FW柳沢敦を、白星で送り出したい気持ちもあった。

 そして「ガンバから来た時の経緯もあるので」と明かし、出場機会減に苦しんでいたG大阪時代に、自分を拾ってくれた京都に、少しでも恩返ししたい気持ちもあった。そんなさまざまな思いを胸に、最後尾で体を張り続けてFW平山相太らFC東京攻撃陣をブロック。リーグ戦では12試合ぶり、今季2度目となる完封勝利に導いた。

 複雑な心境は胸にしまって、心を鬼にして戦った。FC東京には平山のほか、MF梶山陽平、DF中村北斗、DF森重真人らアンダー世代の代表で共に闘った戦友たちがいた。また千葉時代の先輩でお世話になったMF羽生直剛もいた。「マス(元FC東京の増島)とも話したけど、チームのために戦おうと。連絡は取った? 僕は取ってないです。複雑だった? そういうのは思ってはダメだし、考えないようにしていた」と水本。あくまでもプロとして、チームの勝利だけを考えて戦い抜いた。

 気になる来季の去就だが、すでに広島からオファーが届いている。ただ水本は「まだ何も決まっていないです。京都は来季、監督がどうなるかとかも分からないので、いろいろと話を聞いてからになると思います」と白紙を強調した。

 京都は先日、元千葉で前グルノーブルの祖母井秀隆GMの就任が発表されたばかりで、まだ秋田豊監督の去就や来季のクラブの方向性が決まっていない。戦力外の選手は通知されたようだが、残留を求める選手とはまだ、具体的な交渉は行われていない。いずれにせよ水本をはじめ京都イレブンは、最後の最後で意地を見せた。

[写真]京都DF水本

(取材・文 近藤安弘)

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