beacon

[大学選手権]浜松大が延長戦の末に北海道教育大岩見沢校に勝利。長澤監督“浜松大初勝利”

このエントリーをはてなブックマークに追加

[12.18 全日本大学選手権1回戦 北海道教育大岩見沢校2(延長)3浜松大 平塚]

 第59回全日本大学サッカー選手権が18日に開幕し、1回戦8試合が行われた。神奈川・平塚競技場では3年連続6回目の出場となる浜松大(東海1)が延長の末に3-2で北海道教育大岩見沢校(北海道)を下し、23日の準々決勝進出を決めた。

 誰もがPK戦突入かと思っていた中、ドラマが起きた。2-2で迎えた延長後半ロスタイム、ゴール中央やや遠めの位置からMF増田誠也(3年)がゴール前に放り込んだFKに、延長戦後半3分から途中出場のFW大石明日希(1年)が飛び込んだ。「ゴールに入ったかどうか分からなかった」というヘディングシュートがネットに突き刺さり、浜松大が3-2の勝ち越しに成功。直後に長い笛が鳴り、最近2大会に初戦敗退で逃していた『全国勝利』をつかんだ。

 立ち上がりから個人技に勝る浜松大のペースだった。主将のMF水野翔介(4年)のゲームメイクから中盤で細かくパスをつなぎ、ドリブルが得意のFW村松知輝(2年)やFW神谷嶺輔(3年)が仕掛ける。しかし相手の粘り強い守備に防がれ、カウンターを食らうシーンが目立った。

 前半19分、北海道教育大岩見沢校が素晴らしいカウンターを見せる。奪ってからの速い縦パスでFW穴田大樹(4年)が抜け出して突進しGKと1対1となった。浜松大としては失点覚悟の場面だったが、GK佐野恭佑(3年)がうまく飛び出してシュートブロック。このファインセーブで再び、浜松大がリズムをつかんだ。

 細かいパスで攻撃に出る中、前半24分、PA左でパスを受けたFW村松知輝が仕掛けて左足を振り抜き先制点をつかんだ。これで浜松大が勢いに乗る。さらに後半30分、再び左サイドを崩して最後はMF水野翔介が出てきたGKの頭上を抜いて2点目を決めた。

 前半を終えて浜松大が2-0。サッカーでは最も危険なスコアとも言われるが、これが現実となった。そして後半11分、一層、そうさせてしまう出来事が起きた。北海道教育大岩見沢校のMF上原拓郎(1年)がファールの判定のあとに審判に暴言を吐いてしまい一発退場。一人少なくなった。北海道教育大岩見沢校は4-4-1の布陣を敷き、徹底したカウンター戦術に切り替えたが、これが結果的に反撃のスイッチとなった。

 試合後、「2-0になって気持ちの緩みが出てしまった」と浜松大の主将・水野が振り返ったが、言葉通り、北海道教育大岩見沢校の鋭い縦パスに脅かされた。浜松大のどこか“緩く”なったパスが狙われ、反撃を受けた。そして後半18分、まずはCKからDF鈴木雄太(3年)のヘディングで1点を返し、さらにその6分後、相手のパスカットからMF東舘勇貴(4年)のパスをFW大西洋平(3年)がPA右で受け、右足で奇跡の同点弾を流し込んだ。

 その後、浜松大は必死に攻めるが2-2のまま延長戦へ突入した。10分ハーフの延長戦は、北海道教育大岩見沢校はPK戦狙いか、かなり引いてカウンターを狙う。そん中、浜松大は攻めあぐねて時間がどんどん過ぎて行った。しかし、延長後半のロスタイムに突入した直後、FW大石明日希のヘディング弾が決まり、至上命題に掲げていた初戦突破をつかんだ。

 就任3年目でインカレ初勝利をつかんだ長澤和明監督は「全国で勝つのは大変ですね。1点取られて、逆にあたふたして、ミスが増えて自分たちの首を絞めた。内容は良くなかったけど、僕自身、初めての勝利だし、全国での1勝は大きいと思う」と安どの表情を浮かべた。長澤監督は女優の長澤まさみの父で、初代ジュビロ磐田の監督。2008年に浜松大の監督に就任してからこの大会は“3度目の正直”となっただけに、内容は悪いながらもつかんだ白星に嬉しそうだった。

 次は23日に関東大学リーグの名門・筑波大と対戦する。水野主将は「チームは全国で勝つことを目標にやってきた。内容は悪かったけど、勝ててうれしい」と喜びつつも、「でも、ああいう形(2-0から追いつかれる展開)で少し悔しい。次は緊張も取れると思うので、自分たちのサッカーをして勝ちたい。挑戦者のつもりで、受け身にならずに、気持ちを引き締めて戦いたい」と意気込んだ。ともにショートパスを持ち味とするスタイル同士の一戦。筑波大の方がタレントが豊富だが、サッカー王国・静岡の名に恥じない“がっぷり四つの攻撃サッカー”で金星をつかむ。

[写真]決勝ヘッドを決めた大石

(取材・文 近藤安弘)
第59回大学選手権特集

TOP