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[大学選手権]王者・明治大、圧巻の11-0発進!

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[12.18 全日本大学選手権1回戦 明治大11-0新潟経営大 西が丘]

 王者が怒涛の11発! 第59回全日本大学サッカー選手権は18日に1回戦8試合が行われ、昨年度日本一の明治大(関東1)は新潟経営大(北信越)と対戦。ジェフユナイテッド千葉加入内定のFW久保裕一(4年)のハットトリックの活躍などにより11-0で大勝した。明大は23日の準々決勝で高知大(四国)と対戦する。

 左足第5中足骨骨折の10番MF山田大記主将(4年、ジュビロ磐田加入内定)とゲームメーカーのMF小林裕紀(4年、ジュビロ磐田加入内定)がともに負傷欠場。また前日17日に全日本大学選抜の台湾遠征から帰国したばかりのDF丸山祐市とMF宮阪政樹(ともに3年)も先発から外れた。エース格と言える選手たちの不在。新潟経営大が大量失点を喫しながらも攻撃姿勢を貫き、前・徳島ヴォルティスのMF金尚佑と途中出場のMF松坂昇(ともに3年)を中心にダイレクトパスやヒールパスを織り交ぜたパスワークを徹底してきていたこともあるが、それでも明大が見せたサッカーのインパクトは鮮烈だった。

 神川明彦監督も「(大勝は)予想していなかった。リーグ戦が終わってから誠心誠意準備してきた。練習試合のパフォーマンスもよかったけど本当に選手たちの力です。(主力がいないのは)痛いですけど、いないから明治のクオリティが落ちるのはよくない。いない中でどれだけ貫けるかやってきたのでよかった」と賞賛した試合は前半20分、SB奥田大二郎の左クロスからMF田中恵太(ともに3年)がヘディングシュート。GKが弾いたボールをゲームキャプテンのFW山本紘之が左足で押し込み先制すると、26分にはゴール前で巧みに相手DFをいなした久保が左足で2点目のゴールを決める。田中、久保が加点して前半だけで4点を奪うと、後半も乱れた相手DFラインの背後を何度も突き続け、後半27分のMF三田啓貴(2年)のゴールまで計9得点。43分に途中出場のMF星野皓太(4年)の左足シュートで大台に乗せると、ロスタイムには右SB鹿野崇史(4年)のラストパスを星野が再び決めてゴールラッシュを締めくくった。

 大量得点を奪った一方で相手に打たれたシュートはわずか4本で完封勝利。これだけゴールを重ねると、集中力が欠如した守備陣が穴を開けられるチームもあるだろうが、王者には隙がない。指揮官は「ボクの考えるサッカーではディフェンスが重要。いいディフェンスがあるからいい攻撃ができると考えている。大量得点でも締まった試合ができたのは隙のない守備があったから」と前線で献身的に走り回った久保と山本の2トップのプレッシングに加え、吉田啓祐(3年)と松岡祐介(2年)の両CBなどディフェンス面を何より評価していた。球際で決して劣ることのない懸命なプレーを90分間貫徹。ハットトリックを達成した久保も「いっぱい取っても、1点取られたらいやな感じがする。ゼロで抑えられてよかった」と11得点よりも完封勝利を果たしたことを喜んでいた。

 関東の強豪から大学サッカー界を代表するチームへ変貌を遂げつつある。ゲームキャプテンの山本は「自分たちは総理大臣杯に何年も出ていなかった。場数を踏んでいなかった。それが昨年優勝して、大きな土台になった」。会場を訪れなかった人々にも、その力を示す「11-0」のスコア。今夏の総理大臣杯全日本大学トーナメントでは国士舘大の前に苦杯を嘗めたが、激戦区関東リーグで独走Vを果たした王者に死角は見当たらない。指揮官があまり大言を言うことはできないと前置きしながらも「失敗を成功に変えるための知性がある」と分析する今年の明治。凄みを増した明治の「王者の行進」に待ったをかけるチームは果たして現れるか?

(取材・文 吉田太郎)
第59回大学選手権特集

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