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“石川サンタ”がミラクル勝利届ける。ロスタイム弾含む2ゴールの大活躍

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[12.25 天皇杯準々決勝 福岡2-3F東京 熊谷]

 クリスマスに“奇跡のプレゼント”を届けた。サポーターにも、チームメイトにも-。“サンタさん”はFC東京のMF石川直宏だ。0-1のまま突入した3分の後半ロスタイムも48分に突入した頃だった。ロングボールのこぼれ球に反応し右足を一閃。華麗にゴールネット揺らし、奇跡の同点に導いた。これでチームに勢いをもたらすと、延長前半8分にはGKまで交わすドリブルで3-1とするダメ押し弾を決め、3-2勝利に導いた。

 「時間が少ないのは分かっていたから、チャンスを逃したくなかった。ここにこぼれてくるなと思ってたし、来たときはチャンスだと思っていた。うまくミートしたなと思う。最後まで諦めなくてよかった」

 サンタクロースの赤い帽子をかぶったサポーターを狂喜乱舞に導いた。FC東京の意地、そして自身の意地をぶつけるゴールとなった。12月4日のJ1最終節・京都戦(アウェー)に敗れてJ2降格が決まってから、初の公式戦だった。相手は来季からJ1に昇格する福岡。“J1の実力”を見せつけたかった。そもそも運命の京都戦、石川は11月27日の山形戦で負った右下腿三頭筋肉離れのために欠場した。仲間に託し必死に応援したが、西京極のスタンドで悔し涙を浮かべた。

 やりきれない思いを振り払い、天皇杯に向けて懸命なリハビリを続けた。23日の全体練習から完全合流したばかりだったが、この日は0-1の後半28分から途中出場し持ち味を発揮した。「なかなか上手くいかない時間があったので、アグレッシュブに行く自分のようなタイプが入って活性化したいと思っていた」の言葉通り、右サイドを快走し続けてチームに元気を与え続けた。奇跡の同点弾、そして結果的に“決勝弾”まで決める活躍を見せた。

 「患部? きょうも不安な部分はあったけど、監督やチームに必要としてもらったので、結果として表現したかった。それに草民(MF田邉草民)が“19人目”として来てて、結局ベンチから外れた。これまでいい形でやってたけど、自分が復帰してきて、ポッと入ったので責任を感じていた。ここで結果を残したいと思った」と石川は明かした。自身の怪我の回復具合もあり、この試合にはベンチ入りメンバーより1人多い19人が遠征に参加した。石川の足の状態がいいことから、結局、石川が不在時に調子を上げていた田邉がベンチ外となった。若手の気持ちも背負って戦っていた。

 「クリスマスに勝てて最高ですね。サポータへのプレゼントにもなったと思う。でもここで終わりたくない。もっと恩返ししたいですね。次は鹿島? まだコンディションに不安があるので、しっかり上げていきたい」

 石川は勝ち続けて、応援してくれるサポーターに恩返しをすることを誓った。恩返しとはJ1復帰をはじめ、たくさんのことが含まれるが、今一番近くにあるのは天皇杯のタイトル。準決勝の相手は鹿島と強敵だが、場所はホームとも呼べる国立競技場だ。J最終戦はスタンドで涙を飲んだが、この悔しさをぶつけ続けて元日決戦に進め、そして賜杯をつかむ。

[写真]同点ゴールを決めたF東京MF石川

(取材・文 近藤安弘)

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