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[大学選手権]関西大躍進の秘密は“サバイバル合宿”

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[12.26 全日本大学選手権準決勝 筑波大1-2関西大 平塚]

 42年ぶりの決勝進出を果たした関西大の躍進の秘密は、今夏に行った“サバイバル合宿”にあった。

 今年の8月に約160人の部員全員で、三重県の山奥で通称“サバイバル合宿”を実施。2泊3日の日程だったが、その内容は一切ボールを使わないもの。農業チーム、漁業チーム、町のゴミ箱作りチームなど、いくつかのチームに分かれて共同作業を行った。

 主力や控えなどに関係なく、20人前後のチームに分かれて、地元の人たちが普段行っている農林業や漁業を手伝い、町に設置するためのゴミ箱作りなどに明け暮れた。サッカーに関するミーティングも無く、部員同士の会話も「明日は何時起き?」「明日も今日と同じ田植え?」など。現地にはボールも持ち込まず、完全にサッカーとは切り離された2泊3日を過ごした。

 その間の生活は、もちろん全てが自給自足。農業チームや漁業チームが持ってきた食材を使って、みんなで食事を作った。風呂もないため、近くの川が風呂代わり。そして、何よりも「あれで団結した」と選手たちが話すのは160人超の部員全員が一堂に、地元の中学校の体育館で雑魚寝したことだ。まさに寝食を共にして、関西大はひとつになった。

 普段はレギュラーや控えと分けられている選手たち。そんな彼らがサッカーと離れ、一人の人間として生活していくために協力し合うといった環境は、選手たち一人ひとりに大きな刺激を与えた。

 関西大の島岡健太監督は「決勝進出という壁を破ることができたのは、夏の合宿の影響が大きい。あの合宿を通じて、一人ひとりの学生がひとつの物事に対して感じる幅が増えた」と夏の合宿を振り返り、「ああいう環境の下、1人だけだと何ができるかを省みることができた。選手たちが何かを感じてくれる部分があったのかな」と微笑んだ。

 部員全員で過ごした夏の2泊3日で培ったチームワークを武器に、関西大が1967年度大会以来、43年ぶりとなる優勝をめざす。

(取材・文 片岡涼)
第59回大学選手権特集

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