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[大学選手権]43年ぶりVへ!関西大が筑波大「攻め倒す」

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[12.26 全日本大学選手権準決勝 関西大 2-1 筑波大 平塚]

 第59回全日本大学サッカー選手権は26日、神奈川県の平塚競技場で準決勝を行った。第1試合では筑波大(関東2)と関西大(関西2)が対戦し、関西大がFW藤澤典隆主将(4年)の2ゴールにより2-1で逆転勝ちした。関西大は11年1月5日の決勝(国立)で、43年ぶりの日本一を懸けて中京大(東海2)と戦う。

 ともに多数の年代別日本代表経験者とJ内定者を擁する注目の一戦は「関西のタレント軍団」関大が、筑波大を「攻め倒した」。関大は前半25分にU-19日本代表CB寺岡真弘(1年)の縦パスからジュビロ磐田加入内定のFW金園英学(4年)がGKと1対1になるなど決定機をつくりながら無得点でいると38分、筑波大のMF須藤壮史主将(4年)、全日本大学選抜MF八反田康平(3年)の高い技術に中央を破られ、全日本大学選抜FW瀬沼優司(2年)のゴールで痛恨の失点。0-1で前半を折り返した。

 「(関西リーグ戦でひっくり返した経験がほとんどなく)逆転勝ちのイメージがなかった」と全日本大学選抜MF田中裕人が振り返る。ただ、関西大は藤澤が「自分たちは守備よりも攻撃のチーム。相手の足も止まってきていた」と説明したように自慢の攻撃力で試合をひっくり返す。
 
 前半はスペースがありながらも、ボールを失なわないことに意識を傾けすぎてゴールへ向かう迫力を表現できなかった。ただ、後半はリードされていたこともあり、1年生MF海田佳祐が「前へ前へ。慎重にならずに攻め込もうとした」というようにゴールを目指して怒涛の攻撃を展開。SB櫻内渚(3年)、MF岡崎建哉(2年)のシュートに加え、藤澤の反転からの左足シュートなど次々と筑波大ゴールを襲っていく。

 この攻勢の前に筑波大は押し込まれる時間が長くなるが、シュートまで持ち込む多彩な攻撃はさすが。13分には八反田、20分には瀬沼、そして30分には交代出場のFW曽我敬紀が決定的なシュートを放つ。また苦しい展開にもディフェンス陣が必死の奮闘を見せ、ゴールを守り続けた。

 1年生GK金谷和幸や守備陣の好守に支えられた関大は攻め続けていたものの、ラストパスがサイドからのシンプルなクロスなど単調で、筑波の砦を攻略することができない。それでも34分、ついに砦が崩れる。関大はこの日再三好パスを連発していた寺岡がPAへ浮き球パス。「攻撃にもう一工夫必要だと思っていた」と右サイドからPA内左寄りの位置まで走りこんでいたMF安藤大介(2年)が絶妙なタッチでボールを落とすと、最後は連動して詰めてきていた藤澤が右足でゴール左隅へと流し込んだ。

 島岡健太監督が「我慢比べ。守備で我慢するのもあったし攻撃でも入らない中、よく我慢してくれた」と話したように“我慢比べ”を制した関大はもう止まらない。35分に左クロスから安藤が放った決定的な一撃は筑波大GK三浦雄也のビッグセーブにあい、37分の金園の左足シュートはポストを直撃した。それでも39分、金園のポストプレーから右サイドを駆け上がった櫻内が絶妙なクロス。これを「気づいたら頭が出た」という藤澤が渾身のダイビングヘッドで決勝ゴールを叩き込んだ。

 部員160人超の関大サッカー部を束ねる主将の2発。後半のシュート数は12-2という大差で「攻め倒した」関大が43年ぶりの日本一へ王手をかけた。近年は強豪校やJクラブユースから年代別の日本代表選手など好選手が次々と入学。ただ関東勢の壁に阻まれ、全日本大学選手権では優勝はおろか決勝にも進出できていなかった。藤澤主将は「何回か勝つと必ず気の緩みが出て、『それをどうしよう』という考えがチームになかった。だからその部分、気持ちの持ち方からこだわって変えてきたつもり」。その成果も出た決勝。大一番で「今までと違う」逞しい戦いぶりを披露し、逆転勝ちをおさめた。

 試合後、選手たちは応援のために関西から会場に訪れた関係者やオールドファンに激励されていたが、決勝では支えてくれた多くの人々の期待に応えるだけだ。「あと1勝」。昨年度は明治大が半世紀ぶりの優勝を果たしたが、今年は関大が歴史を変える。

[写真]後半39分、関大・藤澤(中央)が決勝ゴール
(取材・文 吉田太郎)
第59回大学選手権特集

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