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[大学選手権]3バックから4バックへ、中京大が変幻自在の堅守で決勝へ

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[12.26 全日本大学選手権準決勝 高知大1-2中京大 平塚]

 3バックから4バックに。中京大が“カメレオンサッカー”らしく、試合中のシステム変更で流れを引き寄せた。

 スタートはDF森本良(4年)、DF中田智久(3年)、DF須崎恭平(1年)の3バックの前にMF熊澤圭祐(3年)をアンカーに置く3-1-4-2。準々決勝の駒澤大戦(2-1)で機能したシステムを継続したが、これが裏目に出た。

 高知大の準々決勝・明治大戦を研究した西ヶ谷隆之監督は「(高知大は)中盤がボックスで、14番(芝野創太)が中に絞って仕事をしていた。こちらの中盤をフラットにするより、真ん中に1人置いて、そこに当てようと思った」と、その狙いを説明。ところが、予想以上に高知大の攻勢を浴び、中盤でセカンドボールを拾えない上に、相手はワイドに開いて攻撃を仕掛けてきた。

 そして前半27分に失点。後手に回った中京大は前半途中で4バックにシステムを変え、高知大のサイド攻撃に対応した。森本は「相手にサイドのスペースを使われて、4バックの方がいいかなと感じていた。ベンチから指示があって4枚に変えて、そこからスペースをひとつひとつ消していった」と振り返る。徐々に落ち着きを取り戻し、最少失点で前半を折り返すと、後半立ち上がりの一発で流れを一変させた。

 後半3分、MF佐藤和弘(2年)の右CKが逆サイドに流れてきたところを中田が右足で押し込む同点弾。「前半からファーに逃げると、相手が付き切れてないなという印象はあった。ボールがいいところに来て、落ち着いて蹴れた。立ち上がりに決めることができて、勢いも出て戦えたと思う」。同点に追い付いた勢いそのままに、後半23分にFW藤牧祥吾(3年)が勝ち越し点。鮮やかな逆転勝ちだった。

 対戦相手や試合展開に応じて戦い方を変化させることができるのが中京大の最大の強みだ。森本は「この1年を通していろんなフォーメーションをやっている。試合中にいきなり言われているわけじゃないし、何も問題はない」と力説し、中田も「声をかけ合って、粘り強くできた。それぞれの役割がはっきりしているし、みんなが謙虚にチームのためにできるようになっている」と胸を張った。

 変幻自在のサッカーで次々と難敵を打ち破ってきた。次なる標的は、FW金園英学(4年)、FW藤澤典隆(4年)という今大会屈指の強力2トップを擁する関西大だ。「試合を見ていても攻撃力のあるチーム」と森本は警戒するが、当然、封じ込める自信もある。3バックか、4バックか。中京大がいかなる“関大攻略法”を用意してくるか。

[写真]後半3分、同点ゴールを決めたDF中田智久(右から2人目)がMF熊澤圭祐とハイタッチ

(取材・文 西山紘平)

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