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[MOM373]駒澤大高MF黒木海人(3年)_「リスタートマン」が脅威のロングスロー

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[12.30 全国高校選手権1回戦 駒澤大高2-1大津 国立]

 相手の出はなをくじくには十分だった。駒澤大高(東京B)の先制点。前半7分、MF黒木海人(3年)が左サイドから放り込んだロングスローがゴール前の混戦を生み、最後はMF高平将史(3年)が押し込んだ。

 タッチラインからゴールエリア内まで到達する黒木のロングスローに大津守備陣は混乱した。ロングスローと見せかけて近くにフリーでいる味方につなぐフェイントが効くだけでなく、ロングスロー自体にも、さまざまな“球種”があった。

 黒木は「あまり詳しくは話せないんですが」と前置きした上で「サインによって、だれに投げるか、どういうボールを投げるかを決めている。高いボールとか低いボールとか工夫している」と明かした。相手の守備陣形に応じて使い分けるサインプレー。黒木の変幻自在のスローが駒澤大高の大きな武器になっている。

 もともとはロングスローを投げたこともなく、練習の中で通常のスローインを投げたとき「リスタートにしては飛ぶな」とチームメイトに言われ、試しに思い切り投げてみたところ「思ったよりも飛んだ」のがきっかけだという。「遠投はちょっと人より飛ぶぐらい。肩が柔らかいみたいです」。まさに偶然の発見だった。

 選手権都大会初戦の大泉戦。初めて公式戦でロングスローを投げたら、いきなり得点につながった。そこからは重要なセットプレーのひとつとして猛特訓。キックの精度も高く、FKやCKのキッカーも任されている黒木に対し、大野祥司監督も「オールマイティーなリスタートマン」と全幅の信頼を寄せている。

 1-1の後半27分には相手陣内でプレッシャーをかけた黒木が自らボールを奪い、右サイドから中に切れ込んで左足でセンタリング。ピンポイントクロスにFW須貝暁(3年)がダイビングヘッドで合わせ、決勝点となった。

 利き足とは逆の左足から生まれた決勝アシスト。手でも足でも、黒木の独壇場だった。「フリーで蹴れば、左右どっちの足でも自信はある。自分はスピードがあまりないので、キックでみんなと差を付けないといけないから」。次は“どこ”でゴールを演出するのか。駒大高の誇るプレースキッカー&スローワーが2回戦以降も相手の脅威となるのは間違いない。

[写真]ロングスローとクロスで2点を演出したMF黒木海人(写真協力『高校サッカー年鑑』)

(取材・文 西山紘平)

【特設】高校選手権2010

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